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上関原発計画中電、海面埋め立て着手27日遅れ 沖合にブイ設置(2009年10月08日掲載)

2019/10/25 15:54
中国電力が工事区域北東端に設置したブイ。台風接近で白波に揺れる(7日午後4時30分)

中国電力が工事区域北東端に設置したブイ。台風接近で白波に揺れる(7日午後4時30分)

 山口県上関町への原発建設計画で中国電力は7日、反対派の阻止行動で延期を繰り返していた海面埋め立て工事に着手した。工事区域を示すブイ2基を建設予定地沖に設置。反対派がブイの積み出しを阻んでいた山口県平生町の田名埠頭(ふとう)とは別の場所から運び、予定より27日遅れとなった。

 中電は当初、田名埠頭に仮置きした9基をクレーン付き台船で約15キロ離れた建設地沖に運び、設置する計画だった。しかし、着手予定の9月10日から、反対派の上関町祝島の漁船やシーカヤックが台船の接岸を阻止。中電側の退去要請に応じず、手詰まり状態が続いた。

 中電は7日、別の台船2隻とブイを用意し早朝から作業を開始。午前7時ごろ、工事区域の2カ所にブイを設置したという。田名埠頭にも台船を向かわせたが、台風接近の悪天候で引き返した。埠頭のブイ9基は陸寄りに移動。反対派は、この日の作業はないと判断し撤収していた。

 上関原発を建てさせない祝島島民の会の山戸貞夫代表は「相変わらず姑息(こそく)なやり方。原発建設に住民の了解はいらないと表明したようなものだ」と憤り、反対運動を強める構え。記者会見した中電上関原発準備事務所の岩畔克典所長は「最善の策ではないが、安全で確実に作業を進める方法を取った」と説明し、残る7基も近く設置する予定でいる。

 上関原発の敷地は約33ヘクタールで、うち海面埋め立ては14ヘクタール。県が中電に交付した公有水面埋め立て免許は「着工は1年以内」とし期限が21日に迫っていた。中電はこの日、着手届を県に提出し受理された。(久保田剛)

 ▽反対派との溝 深まる恐れ

 【解説】上関原発の海面埋め立て工事をめぐり1カ月近くに及ぶ中国電力と反対派のにらみ合いは、中電が奇策ともいえるブイ設置で着手した。中電は、対話は困難として着手を優先したが、反対派との溝はさらに深まる可能性が高い。

 27年間にわたって反対運動を続けてきた祝島島民。中電は説得を試みたが、島民の心情を逆なでする発言もあり、事態は行き詰まった。山口県内外から環境保護を訴える若者たちも抗議に加わり、阻止行動は広がりを見せた。

 記者会見で、中電上関原発準備事務所の岩畔克典所長は、水面下でも反対派に働き掛けたとしたが、「短期間での決着は難しい」とブイ設置の妥当性を強調した。だが、反対派は虚を突くやり方だけに、怒りを増幅させている。

 こうした状況で、今後の工事がスムーズに進むとは考えにくい。さらに中電には、建設地近海で確認された希少生物への対応や、耐震性の検証などについて住民に十分な説明をする必要がある。中電が繰り返す「理解を得る努力」が真に問われる。(久保田剛)

 <クリック>上関原発計画 1982年に当時の上関町長が誘致を表明。中国電力は出力137・3万キロワットの改良沸騰水型軽水炉2基の建設を計画している。山口県は2008年秋、中電に公有水面埋め立て免許を交付。中電は国への原子炉設置許可申請に向け、地質調査のデータ解析を進めている。着工予定は1号機が10年度、2号機は15年度で、1号機は15年度、2号機は20年度の運転開始を目指している。

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