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教育資金、生まれたら貯蓄を 幼保無償化で浮いたお金「ないものと」(2019年10月20日掲載)
今月から始まった幼児教育・保育の無償化。対象となる子育て世帯には大きな助けになるが、かかるはずの費用が「ただ」になるからと、財布のひもを緩めるのは禁物だ。ファイナンシャルプランナーの吉本〓(りゅう)さん(50)=広島市安佐南区=は、学費の値上げや入塾時期の低年齢化も踏まえ、「教育資金をためるなら今」と力を込める。
吉本さんは最近、子育て世帯向けのマネーセミナーで「幼保無償化で浮いたお金は、ないものと考えて」と繰り返している。これまで、子どもが幼稚園を卒業してから中学校を卒業するまでを「ためどき」と紹介してきた。しかし「それが無償化で『生まれてから』に前倒しになったんです」
早い時期からの備えを促す背景には、子どもの教育費が増えている事情がある。今は、小学校高学年から塾に通う子どもも少なくない。習い事も多様になっている。国立大学の授業料は、この30年で1・6倍に上がった。子どもが成長するにつれ、親の負担は増える。
国の資料によると、幼稚園入学から大学卒業まで全て国公立に通ったとしても800万円近くかかる。大学進学で親元を離れた子への仕送りなどを含むと、1千万円を超えてしまう。親からすれば、気の遠くなるような金額だ。
一方、収入はといえば、昔のように年功序列で上がっていく保証はない。晩婚化で子どもが高校生になる頃、親自身の老後資金の準備が必要になる家庭もある。「他の時期に比べて持ち出しの少ない幼児期から、いち早く貯蓄を始めるべきです。そして、こつこつためる必要があります」と、吉本さんは強調する。
では、無償化でどのくらいの費用が「浮く」のか。
例えば広島市の認可保育所の3〜5歳の保育料は、年収650万円の世帯の場合、毎月約2万2千円の負担減となる。これを貯蓄に回すと、3年間で約80万円になる。
今回の幼保無償化のほかに、教育資金の貯蓄に回せそうなのが児童手当だ。所得の多い世帯を除くと、原則3歳未満は月1万5千円、3歳から中学卒業まで月1万円が支給される。児童手当を中学卒業までため続けると200万円程度になる。ちょうど、大学受験前までに「最低限用意しておくべきだ」と言われる費用に相当する。
吉本さんは「幼保無償化によって少し余裕ができたと喜ぶ世帯は多いが、将来の現実から目をそらさないでほしい」とくぎを刺す。旅行や外食の回数を増やすなど、目先の「プチぜいたく」の誘惑に負けないでほしいという。習い事も安易に多くしないよう注意を促す。
「早い時期に貯蓄を始めれば、運用して増やす選択肢もある」と吉本さん。資産運用の初心者には、少額投資非課税制度(NISA)などの金融商品がお薦めという。「国の制度や経済の変化に敏感に反応し、賢くためる『親力』が求められています」(標葉知美)
■幼児教育・保育の無償化
今月から、幼稚園や認可保育所、認定こども園の利用料が無料になった。消費税率10%への引き上げで得られる増収分が財源。3〜5歳児は原則全世帯が対象。0〜2歳児は住民税非課税世帯に限る。補助の上限がある施設もあり、一部の私立幼稚園は月額2万5700円、認可外保育施設は月額3万7千円。
【お断り】〓は「隆」の異体字ですが、JISコードにないため表示できません。
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