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府中市議会、市長答弁ゼロ 一般質問9時間20分 市民「是々非々の議論を」(2019年9月21日掲載)

2019/10/29 16:33
開会に合わせ小野市長があいさつを述べた府中市議会定例会の本会議(2日)

開会に合わせ小野市長があいさつを述べた府中市議会定例会の本会議(2日)

 府中市議会(定数20)の定例会は17日間の会期を終え、18日に閉会した。2日間の一般質問には全4会派から13人が立った。計9時間20分にわたり市政をただしたが、小野申人市長の答弁はなかった。市議会会議録システムに記録が残る1996年以降、歴代4人の市長で初の事例だ。「市長が発する市政についての考えが分からない」と、物足りなさを嘆く市民もいる。

 5、6日にあった市議会本会議の一般質問。市民病院の将来像や人口減少対策、農業振興策などの課題が取り上げられたが、答弁したのは村上明雄副市長や担当部署の職員だった。小野市長を名指しし、答弁を求める質問もあったが、その機会はなかった。

 ▽備後圏で唯一

 小野市長は昨年5月に就任以降、同6月の初の定例会での答弁は計12回。初の予算編成となった今年3月は計14回、前回の6月は計5回立っている。今回、答弁ゼロの理由について取材に、「特に理由はない。具体的過ぎて、(市長として)答えようがない質問や以前と同じ内容もあった」と答えた。

 備後圏域の他の3市2町のうち、一般質問で答弁ゼロだった現職首長はいない。広島県内自治体のある市長経験者は「市政を担う自覚と責任を持たせるため、あえて分担制を敷き、副市長や部長に答弁させていた」とした上で、「市長が一度も答弁しないのは、市と議会が議論を通じて市政を前進させるという本来の姿から遠い」と話す。

 市周辺部で農業を営む60代男性は「市や議会は、こんなもんかと諦めている。市長の考えが見えにくい」と落胆する。「市と議会が緊張感を持って是々非々の議論を重ねてこそ市民にとって最善の選択ができるのに残念」(まちづくりに携わる住民団体の60代女性)の声もある。

 一般質問では、市の子ども医療費助成制度の見直しや上下高の存続支援策などを問うものもあった。ただ、事業の内容や現状をたずねる質問もあり、ある市議は「日頃、担当部署に出向いて聞けば事足りるものもあった」と打ち明ける。

 ▽「予定調和型」

 小野市長が昨春まで所属していた市議会最大会派、創生会(13人)の加藤吉秀議長は「(議長として)市長が答えるべきものは答えなさいというスタンス。だが、答弁内容を深掘りできぬまま質問を終えた議員がいたのは確か」と説明する。昨春の市議選で初の無投票当選を受け、議員の役割を見つめ直して改革を進めている市議会にとっても課題を残したといえる。

 地方行政と議会に詳しい環太平洋大経営学部の林紀行准教授は「首長と議員を別々の選挙で選ぶ二元代表制では、議会は行政を監視するのが役割。予定調和型の一般質問では、市長も議会も存在意義そのものが問われる」と指摘する。(野平慧一)

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