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海外視察 実態は… ドバイで観光名所巡り/報告書 コピー1枚のみ 広島県議会と市町調査(2018年02月28日掲載)

2019/10/29 16:38

 広島県内の議会で過去3年間に計8千万円余りの公費が使われていた議員の海外視察。参加者は意義を強調するが、観光ととられかねない日程を含んでいたり、報告書をコピー1枚で済ませたりしている事例もあった。視察内容の透明性を高めるため、議会には積極的な情報発信が求められるが、専門家からは「不十分」との指摘もある。

 ■視察内容

 県議会の自民議連と民主県政会の各4人でつくる訪問団が政務活動費(政活費)を使い、2015年10月に実施したブラジル視察。帰国の経由地、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで超高層ビルなど観光名所をガイド付きで巡っていた。

 訪問団長の岩下智伸氏(安芸郡、民主県政会)と幹事長の児玉浩氏(安芸高田市、自民議連)はドバイ市内を専用車で巡ったことを認める。岩下氏は「ホテルから空港までの間、ガイドが気を利かせて案内した」と説明。専用車やガイド代で計約50万円を計上したが、報告書にドバイでの行動内容は記していない。

 ブラジルでの行程を含めて「政務活動ではないとの疑問を持たれる可能性がある」とし、8人は、航空機の座席のクラスで異なる1人約60万〜120万円の費用の半分を自腹で出した。

 視察内容に「誤解を招く恐れがある」として政活費から支出した費用の一部を自己負担する例は他にもある。ベトナムでメコン川のクルーズに参加した県議が2割、目的が異なる視察団に同行して調査対象ではない国も訪問した広島市議は半額を出した。負担割合は「慣例」などとし、明確な根拠はなかった。

 ■報告書

 帰国後に提出が義務付けられている報告書も、疑問を抱かれかねない内容があった。

 県議会の井原修氏(東広島市、自民党広志会・つばさ)は、副会長を務める広島ベトナム平和友好協会(東広島市)の訪問団長として15年10月、ベトナムを視察。政活費を充てた。報告書として提出した1枚の紙には簡単な日程や訪問先で撮影した写真数枚が載っていた。同協会の会報のコピーだった。

 「現地で経済状況を調べた」と井原氏は強調するが、「報告書」に内容の記述はない。取材に対し、「適切でなかったかもしれない。改めたい」と話した。

 視察の透明性を高め、効果を有権者に伝える観点から多くの自治体は報告書作成を義務付ける。目立つのは、訪問団や会派が10〜30枚程度を連名で提出するケース。一人一人が個別の報告書を提出していた庄原市を除いてこの形式だった。ある県議は「県議会で実務を担うのは若手など数人の場合が多い。報告書を書かない人もいる」という。

 ■公開

 報告書の公開を巡っても自治体間で差がある。県と広島市は、任期中に1回認めている公費視察の報告書はホームページ(HP)に掲載するものの、政活費の視察は載せていない。政活費視察の内容を確認するには、県議会は県庁での閲覧か情報公開請求が必要。広島市議会はマニュアルで「報告書は各会派で保存」と定め、公開規定はない。

 東広島市は報告書の作成、公開の規定を明文化していない。牧尾良二議長は「公開の全員協議会で口頭報告し報告書も自主的に作っている。市民からの開示請求はなく、問題ない」との立場だ。

 島根大法文学部の毎熊浩一准教授(行政学)は「インターネットなどでさまざまな情報を得られる中、必要性があるから大人数で視察をしているはず。成果を含めてきちんと説明する責任がある。疑問を持たれる訪問は避け、公開方法もより多くの市民が確認できるよう見直すべきだ」と指摘する。(長久豪佑、鴻池尚)

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