地域ニュース

住民の不安 対策探る 大島大橋衝突1週間 行政や専門家に聞く(2018年10月30日掲載)

2019/10/30 13:26
町の保健師(右)からペットボトル飲料水の配布を受ける高齢者 

町の保健師(右)からペットボトル飲料水の配布を受ける高齢者 

 大島大橋への貨物船衝突事故から29日で1週間。各家庭への送水再開のめどは立たず、橋の通行規制も続く。給水体制や健康面、橋の復旧状況、事業の資金繰り…。不安を募らせる住民の声から課題を探り、今後の見通しや対策を行政や専門家に聞いた。

■給水所

14ヵ所に増設へ全力

 町内の給水所は9カ所に限られ住民は水の確保に苦労する。隔日で給水車が来る町油田出張所近くの理髪店経営木下績さん(77)は「給水所が遠い日は車のある人に頼むが、長引くとつらい」と困惑する。給水所は今後増えるのか。また一般家庭に水が届く時期の見通しは。町に聞いた。

 町水道課は、給水所を14カ所まで増やしたいとするが、現在、給水車の橋の通行が制限され、島外からの水の供給量が不足。柳井地域広域水道企業団が11月6日から75ミリの小口径の仮設管で1日500トンを送水すれば、14カ所分の水は確保できる。ただ、給水車の確保が課題でどれだけ給水所を増やせるかは不透明という。

 町内全戸の断水が解消できる300ミリの大口径管の設置時期は未定。町は地域で共用するための家庭用井戸の水質調査を始めた。

 町水道課は「行政では手が届かない部分がある。地域で助け合い、飲料水や生活用水の確保をお願いしたい」とする。

■橋の損傷

亀裂や変形16ヵ所を補強

 県は29日、貨物船衝突で橋中央付近の桁を幅約30メートル損傷し、16カ所に亀裂や変形が見つかったと発表した。車両の重量制限は走行による振動や風圧、仮設水道管の重量などの負荷を考慮し、安全に通行できる数値を導き出したとしている。

 県は同日、大島大橋の応急復旧工事に着手した。半月程度かけて橋の下に作業用の足場を組み、損傷箇所を鋼材で補強する。12月上旬の完了後は2車線通行となる。橋を全面通行止めにすれば工期は短縮するが、県は「住民生活への影響を考えるとその選択はできない。我慢してほしい」と理解を求める。


■健康対策

アルコール消毒奨励

 断水長期化で高齢化率5割を超える島では住民の健康不安が高まる。同町平野の無職藤谷純子さん(71)は「疲れが出始めたのか、体調がすぐれないことが多い」。油宇の無職男性も「長期間風呂に入れないとストレスがたまる」と悩む。健康対策を医師に聞いた。

 大島郡医師会の嶋元徹会長(57)は「感染症が一番心配」と語る。冬に流行するインフルエンザの予防には手洗いが基本。ただ水が十分ではない状況で「アルコール消毒で対応を」と助言する。

 家で調理が難しく栄養も偏りがち。「インスタント食品では栄養バランスが崩れる。コンビニやスーパーで野菜や総菜も買うなど気を配って」と呼び掛ける。入浴は体を清潔に保ちリラックス効果もある。「井戸水を使う近所の家でもらい湯をしたり、移動手段のない高齢者を行政が入浴施設まで送迎したりすることも必要なのでは」と語る。


■事業者支援


 「観光の島」を掲げる町内の事業者は売り上げ減少に直面し資金繰り不安が高まる。ジャム店「瀬戸内ジャムズガーデン」を経営する松嶋匡史代表(46)は「ジャム製造は水が命。水がいつ使えるようになるのか見通せないと融資も受けられない」。事業者支援はどうなっているのか。

 山口銀行(下関市)は近く町内3支店と柳井支店(柳井市)に相談窓口を特設。融資や返済の相談を受ける。

 日本政策金融公庫も岩国支店(岩国市)など県内の全4支店に相談窓口を設けた。公庫は11月5日から毎週月曜日、町商工会や県信用保証協会、山口銀とともに町内で出張相談会も開く予定だ。


この記事の写真

  • 県が公表した大島大橋の16カ所の損傷部分。上方が周防大島側

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

アーカイブの最新記事
一覧