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船長ら橋の高さ未確認 大島大橋衝突 運輸安全委が途中経過 最短のルート選択(2019年03月29日掲載)

2019/10/30 14:32


 山口県の柳井市と周防大島町を結ぶ大島大橋に昨年10月に貨物船が衝突し、同町全域が1カ月以上断水した事故で、国土交通省の運輸安全委員会は28日、調査の途中経過を発表した。ともにインドネシア国籍の男性船長と男性航海士は、事前に橋の高さを確認していなかった。航海士は最短距離で目的地に到着しようと、コンピューターの海図装置が示す推薦航路ではなく、橋をくぐるルートを選択していた

 経過報告書によると、事故を起こしたマルタ船籍のエルナ・オルデンドルフ(約2万5千トン)は、韓国・温山(オンサン)港から江田島市の私設バースに向かっていた。

 航海計画は20代の航海士が作り、40代の船長が確認した。その際、コンピューターの海図装置は周防大島の東側を通るルートを推薦航路として示したが、航海士は最短経路となるよう島西側の大畠瀬戸を通るルートを選択。出航前日の10月20日付で2人が署名した。

 出航後の21日午後、2人は航海計画に改めて目を通した。大島大橋の存在は把握していたが、この時も橋の高さを確認しなかった。

 事故は22日午前0時27分ごろ発生。その約30分前、近づく橋の高さに不安を感じた船長は、航海士に調べるよう指示していた。航海士は英政府発行の水路誌を開いたものの、高さの記載を見つけられなかった。

 同委員会によると、海図装置と水路誌の大畠瀬戸の項目にはそれぞれ、大島大橋の高さなどが記載してあるという。

 同委員会は、事故によって橋を通る水道管が破断し、住民生活に大きな影響が出たことを考慮。最終的な報告書のとりまとめには時間がかかる見通しのため、現時点で確認できた情報を公表した。「最短ルートを選択した理由や、橋の下を通過する前に高さを確認していなかった理由などをさらに分析する」としている。

 この事故で、柳井海上保安署は船長と航海士、操舵していた男性甲板手の3人を業務上過失往来危険の疑いで書類送検。船長は罰金50万円の略式命令が出て納付し、他の2人は起訴猶予処分となっている。(桑原正敏)

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