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「いじり」は「いじめ」 周南の高2男子自殺 調査検証委員長務めた堂野佐俊教授警鐘 無自覚で延々 相手傷つける(2019年04月29日掲載)

2019/10/30 14:59

 2016年に周南市の高校2年男子生徒が自殺した問題で、山口県のいじめ調査検証委員会は男子生徒が周りの生徒や教員から受けた「いじり」の行為を「いじめ」と認定した。委員長を務めた山口学芸大の堂野佐俊教授(発達心理学)は「悪意がなくても相手をおとしめ、傷つける行為はいじめ。無自覚に延々と続けば、いじめられる側の心はやがてオーバーフローしてしまう」と警鐘を鳴らす。

 堂野教授をはじめ医師や弁護士たち5人でつくる検証委は昨年2〜11月に実施した調査で県教委が17年にまとめた報告書の内容を精査。自殺した男子生徒が周りの生徒から受けた仕打ちのうち県教委が「いじり」と分類した3項目を「いじめに該当する」と覆した。具体的には、体形や髪形をからかい「キモい」と笑う▽黒板消しを頭の上ではたき、粉まみれにする▽教室から閉め出す―の行為だ。

 思春期の子どもは家族より友人を大切にする傾向があり「仲間グループに所属し『居場所』をつくることは、この年頃にとっては生きる上での大きな評価点となる」と堂野教授。男子生徒も「居場所」を保つためにあえて「いじられキャラ」のポジションから抜け出ずにいたと分析する。

■いつしか日常に

 一方、周りの生徒は男子生徒が苦痛に感じた行為について笑いをもたらす「コミュニケーションの手段」としか認識していなかった。「この程度なら大丈夫」「みんなやっているから」などの甘い認識で、いじりはいつしか「日常的な風景」となり、加害生徒は自分がいじめをしている事実から目をそらしていた。

 堂野教授は「暴力という明確ないじめなら教員も止めに入れるが、『いじり』とされたいじめは加害者が無自覚なまま延々と相手を傷つける。とても残酷で現代のいじめを象徴している」と断言する。

 検証委はさらに教員もいじめの当事者となっていたことを指摘した。授業中に必要以上に男子生徒のあだ名を連呼したり、掃除用具の片付けを1人だけに押し付けたり。検証委の聞き取りに対し「いじられてうれしい人もいる」と見当違いの回答をする教員もおり、いじめに対する教育現場の認識の甘さが露呈した。

 生徒にとって教員は逆らえない存在で不適切な言動に苦痛を感じても「やめて」とは言いづらい。教員のいじめがまかり通れば周りの生徒も悪乗りし、新たないじめを生み出す端緒となりかねない。「教員は自分の発言や行動が生徒に大きな影響を与えることをもっと留意すべきだ」

■どこの学校でも

 堂野教授は周南市で起きた生徒、教員による「無自覚のいじめ」を「どこの学校でも起こり得る問題だ」と指摘。特に新学期が始まって間もない今の時期に注意が必要だとし「新たな集団生活に適応するプレッシャーとストレスの中で対人関係が未熟な子どもはいじめや孤立に陥りやすい」とする。

 トラブル回避の手だてとして「相手は自分の鏡。向けた言葉がどう受け止められているかを察することが、仲間づくりの第一歩」と助言。教員には「ささいな変化に気付けるよう徹底した研修で感度を上げなければならない」とくぎを刺す。(門脇正樹)

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