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ごみ屋敷と向き合う<下>支援の道のり チームで専門性生かす 情報共有の仕組み重要(2017年11月7日掲載)

2019/11/5 14:15
かつてごみ屋敷だった自室で絹田さん(右)と語らう男性(10月、美作市)

かつてごみ屋敷だった自室で絹田さん(右)と語らう男性(10月、美作市)

 この夏、美作市で一つの組織が設立された。社会福祉に関わる市内の12機関でつくる「美作市内の社会福祉法人等連絡協議会」。生活に困っているのに公的支援が届きにくい人たちを、多機関で連携して支えることを目指している。

 事業の柱の一つに据えたのが、ごみ屋敷の清掃だ。「ごみ屋敷の情報をつかんでも、住人と接点が薄くて対応が難しい。片付けをしようにも人手や車を提供できない―。1機関で対応すると、そんな事態に直面するケースが多いのです」。事務局を務める市社会福祉協議会総務課の天野心平主事(36)は説明する。住人との関係づくり、実際の片付け、自治体との調整、事後の生活支援…。各機関が専門性を生かしながら共に取り組み、解決を図る試みだという。

 初めての対応事例は6月にあった。市営住宅の平屋に1人で暮らす男性(43)。軽い知的障害があり、少し前に市の障害者支援機関に「片付けができない」と助けを求めていた。当時、男性宅には脚が埋まるほど大量のごみがたまり、悪臭を放っていた。

 ▽処分後のケアも

 連絡協議会は男性の同意を得て、片付けを始めた。市も加わり、軽トラック6杯分のごみを搬出。人手や道具の費用は協議会が、ごみ処分費は男性がそれぞれ負担した。

 連絡協議会の中に男性と以前から関わりを持つメンバーがいたため、男性との事前の話し合いや当日の作業はスムーズに進んだ。作業車がある機関、男性の金銭管理に詳しい機関、精神的ケアのスキルを持つ機関…。それぞれが力を出し合い、男性は家事援助のヘルパー利用につながることもできた。「いつの間にかごみがたまり、どうしていいか分からなかった。きれいにしてもらったので、繰り返さないよう頑張りたい」と前を向く。

 同協議会理事で、NPO法人「地域生活支援センターみまさか」理事長の絹田啓一さん(69)は「ごみがたまってもさまざまな理由で自ら声を上げられない人もいる。他機関と力を合わせて早期に気付き、片付け後のケアも含めたより良い支援につなげていければ」と話す。

 ▽当事者意識薄く

 だがこの協議会のように、ごみ屋敷と接点のある機関がチームとなって、対応に当たる地域は少ない。市町村、社会福祉協議会、地域包括支援センター(包括)、介護や障害者福祉のサービス事業所…。それぞれの組織内でさえも、住人の暮らしぶりや部署ごとの対応が情報共有されないケースは珍しくない。広島県内のある包括の職員は「ごみ屋敷に潜む問題はさまざまな分野にまたがるため、どの機関も当事者意識を持ちにくく、責任を持って解決しようとする姿勢が欠けがち」と打ち明ける。

 「チームづくり」のポイントとして、ごみ屋敷問題に詳しい県立広島大の手島洋講師(地域福祉)は「自治体や社協のソーシャルワーカーなどが中心となり、行政の各担当職員や保健師、介護スタッフらが顔を合わせて情報を共有する仕組みを設けるといい」と提案する。

 さまざまな専門的な視点で的確な方針を立てた上で、住人と良好な関係にある人が窓口になって継続的に関わる。そして、経済的に困っていれば生活保護、高齢者なら介護サービス、障害があれば障害者福祉サービスにもつなぐ。自治会などを通じて地域との接点も徐々に増やす―。「そうする中で初めて、目の前の片付けだけでなく根本的解決に近づける」と話している。

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