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島根・鳥取合区の結末 2016参院選 <下>有権者 広い選挙区に抵抗感 解消願う声根強く(2016年07月14日掲載)
参院選島根・鳥取選挙区(改選数1)の投開票から一夜明けた11日、全国で「1票の格差」是正を求める升永英俊弁護士のグループが、同選挙区の選挙無効を求める訴えを広島高裁松江支部にも起こした。
最高裁が「違憲状態」とした2013年の前回選で最大4・77倍だった格差は、「島根・鳥取」「徳島・高知」の合区で3・08倍に縮小した。だが、升永弁護士は「票の価値が平等になっていない以上、合区は全く意味がない。完全に平等となるまで訴え続ける」と主張する。
▽「置いてけぼり」
衆院選を含め、度重なる司法の判断に動かされる形で導入された合区だが、島根、鳥取県の有権者には強い抵抗感がある。両県で、今回の参院選の選挙区の無効票は計1万8430票。前回から2178票増えた。鳥取県選管によると、無効票には「合区反対」と記されたケースもあったという。
背景の一つに、広がった選挙区を候補者が回り切れず、有権者が選挙を身近に感じられなくなったことがある。両県の全38市町村で有権者が2番目に多い鳥取市は、県庁所在地にもかかわらず、公示日と選挙戦最終日に3人の候補者が誰も姿を見せなかった。同市布勢の飲食店従業員前田憲次郎さん(33)は「鳥取市は置いてけぼりにされた感じで寂しい。正直、選挙の感じが全くしなかった」と不満そうだ。
▽拡大議論加速も
東西に長い選挙区の両端は、特に「日程の犠牲」となった印象が強い。鳥取県東端の岩美町、島根県西端の津和野町は18日間の選挙戦で候補者のうち2人が1度ずつ訪れただけ。津和野町日原のスーパー経営笹尾和正さん(65)は「人口に照らして、合区なのは分かる」としながらも「静かで迫力がない選挙だった。鳥取県まで加わると誰が出ていて何が争点なのか、全然ぴんとこない」とこぼす。
ただ、1票の格差是正が迫られる中、合区解消は難しいとの見方は根強い。昨年7月の公選法改正前に、与野党の参院選挙制度協議会で20府県を10の合区にする案などが検討された経緯もある。今後の司法判断によって、合区拡大に向けた議論が加速する可能性もある。
島根大の毎熊浩一教授(行政学)は「有権者数は大事な視点だが、国の利益と密接に結び付く地方の利益をどう守るかという課題もある。人口だけを評価するのは一面的だ」と指摘。カナダのブリティッシュコロンビア州で選挙制度改革を巡って市民代表が議論した例も踏まえ、「参議院の在り方を含め、合区について国民的な議論を深める必要がある」と強調する。(秋吉正哉、川崎崇史、江川裕介、西村萌)
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