地域ニュース

トッコウ服、姿消す えびす講、暴走族と警察衝突から20年(2019年11月22日掲載)

2019/11/30 19:00
広島県警の一斉摘発で、もみ合う捜査員と暴走族たち。華やいだ祭りの雰囲気は一転し緊張に包まれた=1999年11月18日午後8時30分、広島市中区の中央通り(画像の一部を修整しています)

広島県警の一斉摘発で、もみ合う捜査員と暴走族たち。華やいだ祭りの雰囲気は一転し緊張に包まれた=1999年11月18日午後8時30分、広島市中区の中央通り(画像の一部を修整しています)

 広島市中心部で18〜20日にあった胡子大祭(えびす講)は目立った混乱はなく多くの人でにぎわった。「トッコウ服」を着た暴走族と広島県警の機動隊が歩行者天国の道路で衝突し、騒動となってから20年。特異な服装での集会を規制する条例制定などを機にトッコウ服の少年の姿はなくなり、安心して楽しめる祭りとして定着している。

 ▽条例・住民運動…「安心し楽しめる」

 最終日の20日夜、歩行者天国の中央通りでは太鼓や神楽などの催しを楽しむ人が詰め掛け、露店もにぎわっていた。家族4人で訪れた南区の会社員吉本理恵さん(43)は「えびす講には毎年来る。かつては路上にガラスが散乱するなど物々しい雰囲気だった」と回想。夫の順厚さん(47)は「子どもを連れて来ても安心して楽しめる祭りになった」と息子と買い物を楽しんだ。

 えびす講ではかつて、独特の刺しゅうが入ったトッコウ服を着た暴走族の少年らが集まり、中央通りや袋町公園で引退式などの集会を開いていた。

 ▽少年ら45人逮捕

 騒動が起きた1999年のえびす講では、少年らが旗を持つなどして中央通りを占拠。退去を促す県警の警告に従う様子がないため、機動隊員が突入した。少年らが瓶や缶を投げ付けるなど抵抗して騒然となり、45人が道交法違反(禁止行為)などの疑いで逮捕された。「暴走族の街」との悪評が聞かれるようにもなった。「面倒見」と呼ばれる男らをはじめ暴力団が背後にいる点も問題となった。

 対策を求める声が強まる中、県警は特別取締本部を設置して取り締まりを強化。市民も動き出し、週末の夜に市中心部に集まる暴走族に対し、帰宅を促す声掛け運動が広がった。

 市は2002年4月、暴走族の集会を罰則対象にした全国初の条例を施行。同年11月、集会を開いた面倒見の男らに条例を適用し逮捕するなど対策を強めた。えびす講で集会を開く暴走族の姿は消えていった。

 「少年たちが自分の思いだけで暴走しているのならまだいいが、暴力団の資金集めの道具になっているのなら、少しでも早く解消してあげないといけないと思い、早く帰宅するよう声掛けを続けてきた」。住民運動をけん引してきた下井良昭さん(72)は「楽しめる祭りを後世に残したい思いが強い」と力を込める。

 えびす講が平穏を取り戻して以降、県内を拠点に活動する暴走族のメンバーも減少した。県警によると、騒動があったピークの99年には428人に上ったが、15年にゼロとなり、その後は確認されていない。「今の時代はトッコウ服を格好いいと思わず、上下関係も嫌う」と県警少年対策課。暴走族の立ち直りを支援してきた県保護司会連合会の藤島秀孝会長(74)は「最近の若者は集団行動から個人行動になり、内にこもる傾向がある」と、時代の変化も背景にあるとみる。

 ▽響く爆音、今も

 暴走族が姿を消した一方で、少年による暴走行為は消えてはいない。最近の少年は、エンジンの空ぶかしの加減で音楽などを奏でる「コール」を響かせながら少人数で市内を暴走。時には会員制交流サイト(SNS)でツーリングを呼び掛け、大人数で爆音を響かせる。毎夜のように走る男性(21)は「走りたい時に友達と楽しく走るだけ。えびす講があるとか関係ない」と話す。県警は引き続き暴走行為の取り締まりに力を入れる方針でいる。(山崎雄一、高本友子)

 <クリック>えびす講騒動 えびす講は広島三大祭りの一つで、商売繁盛や家内安全を願い、小判や米俵などを飾り付けた熊手を売る露店が広島市中心部の繁華街に並び、にぎわう。しかし、1999年11月18〜20日にあったえびす講では、歩行者天国の中央通りを暴走族が占拠し、広島県警の機動隊員と衝突。暴走族の少年らは瓶や缶類を投げるなど抵抗して暴れ、一時、騒乱状態となった。暴走族とそのバックにいる暴力団の問題がクローズアップされ、暴走族根絶に向けた県と市の関係条例が施行されるきっかけにもなった。


この記事の写真

  • 太鼓の演奏などでにぎわう広島市中区の中央通り=20日午後8時21分(撮影・山崎亮)

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

アーカイブの最新記事
一覧