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きずな依存 ネットと子どもたち 刃に変わるとき 悪ふざけがエスカレート 肌で感じられぬ人の痛み(2013年09月15日掲載)

2019/12/1 16:39

 今年初め、島根県内のある女子中学生が学校を休みがちになった。原因は、スマートフォンの無料通信アプリLINE(ライン)を使った悪質ないたずら。同じ学校の男子生徒の仕業だった。

 彼は友達から入手したその女子の顔写真と自分の全裸写真を合成し、ラインのグループに公開したのだ。写真は大勢の生徒の目に触れ、学校側が全生徒と保護者を集めて注意を促す事態となった。

 全国webカウンセリング協議会(東京)認定のネットいじめ対応アドバイザー長谷川陽子さん(松江市)の元には、このようなトラブルの相談が絶えない。

 「やった本人は軽い悪ふざけのつもり。インターネット上では自分のしていることや相手の痛みを肌感覚で感じられないから、『のり』でとんでもないことをしてしまう子が本当に多い」。県教委からは、学校向けの情報モラル講座の依頼が相次ぐ。

    ◇

 全国的にもネットが絡んだ子どもの事件やトラブルが多発している。昨年7月、兵庫県赤穂市で中学3年男子ら5人が小学6年男児に暴行し、動画をネット上に投稿。後に逮捕された。今年3月に自殺した奈良県橿原市の中学1年女子は、ライン上でいじめを受けていた可能性があるという。

 広島県内の10代女子も、ネット上にあるクラスの掲示板、いわゆる「学校裏サイト」の存在が不安でならない。サイト上ではクラスメートの陰口が頻発しているからだ。いつか自分も書かれるんじゃないか―。「怖くて仕方ない」という。

 使い方次第でネットは刃(やいば)に変わる。そこで紡いだはずの「絆」も、時にもろくて切れやすい。「クラス全員のライングループから1人だけ外された」「ラインで悪口を書かれた」…。そんな体験をした中高生は少なくない。

 関係をこじらせたくないと、神経をとがらせる子どもたち。取材で、「ラインの既読機能がいや」―という声を多く聞いた。送られてきたメッセージを読むと、相手の端末に「既読」と表示される。本来は、災害時の安否確認などで有効に活用したい機能だ。

 だが、子どもたちは気が気ではない。1対1や少人数でやりとりする場合、すぐに返信しなければ「既読ブッチ」と揶揄(やゆ)される。送った側も、返信がないと無視されているのかと不安になる。

 「ずっと誰かとつながっているようでしんどい時もある(17歳女子)」「自分の時間がなくなってイライラする(16歳女子)」。ネットに縛られているような疲労感を、子どもたちは抱えていた。

 身近な所から、こんなニュースも飛び込んできた。13日、広島市安佐北区と広島県山県郡に住む16、17歳の少年計4人が逮捕された。「ラインで無視するので腹が立った」。遊び仲間の男子高校生(19)を殴ったり蹴ったりしてけがを負わせ、現金約1500円を脅し取った疑いという。

    ◇

 「いま携帯を取り上げたら、みんなほっとするのではないか。『こんなにラクだったのか』って」。高校のスクールカウンセラーで心理療法士の永川邦久さん(62)は話す。

 「ネットが友達と浅く広いつながりを保つためのツールになっている。依存というより、実際はそれに拘束されている。成長期の子どもたちには自分としっかり向き合い、自分自身を育てる時間が必要だ。使い方のルールを大人が示していかなければならない」と指摘している。(教蓮孝匡、木ノ元陽子)


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