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生活保護費「支給日は覚醒剤を買いに」 広島県警、2017年の逮捕者の1割が受給者(2018年05月13日掲載)

2019/12/4 13:52
生活保護費で覚醒剤を購入していた過去を打ち明ける男性

生活保護費で覚醒剤を購入していた過去を打ち明ける男性

 生活保護費の一部が覚醒剤の購入に使われる実態が広島県警の捜査であらためて浮き彫りになった。中国新聞の取材に同様の行為を繰り返したと証言する受給者も複数いる。覚醒剤は依存性が高く、暴力団の資金源にもなっていると指摘されてきた。関係機関には、薬物依存が疑われる受給者の把握と薬物依存脱却への支援が求められる。

 「毎月、生活保護費の支給日になると覚醒剤を買いに走っていた」。県内の自立準備ホームで薬物依存症の治療を続ける男性(61)は明かす。県警に逮捕された3年ほど前まで、月約7万円の生活保護費の大半を使って暴力団関係者から覚醒剤を購入していたという。「薬(覚醒剤)が欲しいばかりだった。生活費が足りなくなり、詐欺まがいのこともしてお金をつくった」

 ▽10年以上購入

 覚醒剤使用容疑で数年前に逮捕された別の男性(67)は10年以上にわたり、月々の生活保護費のうち3万円ほどを覚醒剤に充てていたと証言。密売人は暴力団関係者だったとし、保護費が振り込まれる口座の通帳を預けていた時期もあった。

 広島市内で密売を繰り返したとして麻薬特例法違反罪などに問われた被告の男(76)は昨年末、広島拘置所で中国新聞記者に接見し「売った相手には、生活保護の受給者もいた。支給日になると連絡があり、コンビニなどで待ち合わせをして売っていた」と語った。

 生活困窮者のため、国費で賄われる生活保護費が犯罪行為に使われることは許されない。厚生労働省は「就労など自立の促進という生活保護の精神に反する」とも強調する。

 受給申請の審査や受給者の自立支援を担う市町村の福祉事務所では、ケースワーカーが定期的に受給者の自宅を巡回し、生活相談に応じている。広島市では月1回から半年に1回程度訪問し、ギャンブルなどに過度に使っていれば指導するケースもある。ただ、覚醒剤の購入については、市の担当者は「使途を調べる強制権限はない。受給者が打ち明けたり、注射器が落ちていたりしない限り、把握するのは難しい」と話す。

 ▽再犯率は6割

 警察庁によると、昨年の上半期に覚醒剤の使用や所持などで摘発された約5千人のうち、3千人余りは再犯者。覚醒剤は依存性が高く再犯率が6割と高いのも特徴だ。薬物依存者の更生プログラムを実施している広島ダルク(広島市中区)の井上智義施設長(51)は「服役を終えた依存者が生活保護を受給しながら再犯に走る現実がある。喜ぶのは売人だけ」と指摘する。

 官民連携の取り組みを求めるのは、生活保護制度に詳しい首都大学東京の岡部卓教授(社会福祉学)。「生活保護を真に必要とする人に社会の厳しい目が向けられないようにするためにも、市町村の福祉事務所は申請を受け付ける際、薬物使用歴を確認し、使用歴がある人については医療機関や更生支援団体とも連携して支援するなどの対策が必要だ」と提起している。(小笠原芳、菊本孟)


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