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「100人論文」 広島大でも成果

2019/12/24

 「100人論文」と呼ばれる企画が広島大など全国の大学に広がっている。多くの研究者が匿名で研究内容や関心事を書いた紙を掲示板に張り出し、それを見た人が質問や助言を付箋で貼り付ける学際的研究推進の試みだ。研究者同士を結び付け、新たな知見を生み出すきっかけにしようと、京都大が発案。10大学ほどが導入する。広島大でも共同研究につながるなどの成果が出ている。

 広島大東広島キャンパス(東広島市)の図書館ホールで11月18〜22日に開かれた「東広島100人論文」。掲示板に「私の研究」「こんなコラボしたい」「私、こんなことできます」の三つが書かれた紙がずらりと張り出された。出展者は教員と大学院生の計80人。名前や肩書は伏せられた。

 120字以内にまとめられた紙の内容は、具体的なものから抽象的な問い掛けまでさまざま。「ヘドロ化した干潟や海底の環境改善をしています」「語源研究に興味がある人たちで辞典を作りたい」「経済学者なので欠損値の多いデータも統計技術で分析できます」

 来場者は意見を書いた付箋を貼り付ける。「時間があれば話しましょう」「私は臨床心理学の知見を提供できます」など。期間中に103枚が貼られた。

 企画は6月に続き2回目。国が大学に求める研究者の「異分野融合」につなげる狙いがある。主催した、研究活動の支援をする学術・社会連携室の宮良晶子リサーチ・アドミニストレーターは「押し付けではなく、面白がって参加できる仕掛けがほしかった」。役職にとらわれず対話してもらうため、匿名にしたという。

 出展者や付箋を貼った人は主催者の仲介でメール交換ができる。6月の開催後には国際共創学科の柴田美紀教授(第2言語習得)と、ライティングセンターのアディーナ・スタイコフ助教(社会言語学)が英語教育をテーマに共同研究をすることになった。

 柴田教授は「研究をざっくばらんに話す場は意外と少ない。関心が一致する人が近くにいたのは灯台下暗しの感覚」。アディーナ助教も「どんな研究者が大学にいるのか分かる。気軽な雰囲気もいい」と前向きに捉える。芸術学と知能情報学の教員など、分野を超えた交流もあった。

 モデルは2015年から年1回開かれる京都大の「京大100人論文」。京都大学際融合教育研究推進センターの宮野公樹准教授が研究者の「出会いの場」として始めた。「本音のやりとりを重ねることで学問は磨かれる。公園のベンチみたいな対話の場になってきた」と話す。

 同大では、今年9月の開催では広島大の10倍以上の1300枚の付箋が貼られた。連絡先を交わすマッチングは毎回40件ほど成立する。取り組みは筑波大や横浜国立大などのほか、企業にも広がるという。

 広島大は今後も続ける予定だが、コメント数やその後のマッチングはまだ少ない。次回以降は成立した共同研究への助成を検討するほか、他大学や企業の出展も呼び掛けるという。(長久豪佑)

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