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「壊したらもう元に戻らないという緊張感」 被爆資料の清掃を大学生や高校生体験 (2019年12月15日掲載)

2020/1/4 21:39
土肥学芸員(右)の指導を受けながら、被爆した自転車のほこりを慎重に払う丸さん

土肥学芸員(右)の指導を受けながら、被爆した自転車のほこりを慎重に払う丸さん

 原爆資料館(広島市中区)は、展示中の被爆資料の清掃を大学生や高校生が体験する制度の試行を始めた。被爆者の高齢化が進む中、資料館が収蔵・展示する遺品などの大切さを若い世代に理解してもらうのが狙い。当面は関心のある大学や高校などと調整し、不定期で実施する。

 対象は資料館本館の「破壊された街」コーナー。れんが塀や折れ曲がった鉄骨、高熱で溶けた金属の塊など大型の被爆資料を中心に、ガラスケースに入れずに展示している。来館者に資料を間近に感じてもらうための工夫だが、ほこりがたまりやすく、学芸員が週に1回、閉館後に清掃している。

 今月上旬に初めて実施した体験に、広島市立大の課外プログラム「市大塾」に参加する2年の池田千夏さん(20)=安佐北区=と丸照正さん(20)=安佐南区=が参加した。土肥幸美学芸員から「そこはもろいから気を付けて」などと助言を受けながら、はたきで慎重にほこりを払い、掃除機をかけた。

 丸さんは「壊したらもう元に戻らないという緊張感があった。資料の重みを感じた」。池田さんは「被害を伝えたり、資料を守ったりする工夫や努力を体感できた」と話していた。

 同館は4月、本館を実物資料を軸とした展示にリニューアルした。被爆から74年が経過し、被爆者も高齢化する中で、遺品に込められた悲しみをいかに来館者に伝えるかに苦心する。加藤秀一副館長は「若い世代に資料を保存する側の体験をしてもらうことで、遺族の思いや、被爆資料の大切さを知ってもらいたい」と説明する。

 展示スペースが狭いため、一度に参加できるのは2、3人程度。参加者の感想や、指導する学芸員の負担を踏まえながら試行を続ける。加藤副館長は「将来的には制度化を目指したい。若い世代に資料館の運営を支援してもらえる体制になれば」としている。(明知隼二)

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