地域ニュース
外国籍中学生、高校進学に日本語の壁 全日制、半数に満たず(2019年12月15日掲載)
今春、広島県内の公立中を卒業した「日本語指導が必要な外国籍の生徒」のうち、全日制高校に進んだ生徒は半数に届かないことが中国新聞の調査で分かった。県内の全ての公立中学生では9割に達しており、その差が鮮明となった。言葉が壁となり授業から取り残されがちな生徒は増える傾向にあり、支援の強化が求められる。
調査は県内の全23市町教委を対象に、県教委と広島市教委を通じて実施。2018年度に公立中3年に在籍し「日本語指導が必要」と見なした外国籍の生徒について、卒業後の進路を尋ねた。
該当する40人のうち、18人(45%)が全日制に進学。そのほか定時制10人(25%)▽通信制2人(5%)▽母国の高校、専門学校各1人(各2・5%)―の計32人が進学を選んだ。就職は5人で非正規労働者3人、正社員2人。帰国などで進路が未定か把握できない生徒は3人だった。
この結果について、愛知淑徳大の小島祥美准教授(教育社会学)は「外国籍の生徒の多くが志願倍率が高い全日制を避け、比較的倍率が低く受け入れ実績がある定時制を選ぶ傾向がうかがえる」とみる。
日本語での日常会話が十分にできなかったり、授業に出てくる言葉が分からなかったり―。こうした困難を抱えた外国籍の子どもは急増している。文部科学省によると18年度、「日本語指導が必要」な県内公立中の生徒は全学年で138人。前回調査の16年度(82人)の1・7倍になった。背景には県内で働く外国人の増加と、国籍の多様化がある。
県教委、広島市教委とも、支援が必要な子どもが在籍する学校に日本語講師を派遣するなどの対策を取る。ただ現場からは「所定の時間内では追い付かない」との声も。ある日本語講師の女性は「中学1年で平仮名から学び始めた場合、3年間で入試に必要な漢字を習得させるなんて、本当に難しい」と明かす。
日本語指導が必要と見なされた子どもが義務教育を終えた後、どのような進路をたどるのか。文科省はこれまで、高校進学率などを調査しておらず課題が埋もれがちだった。同省は「調査の必要性は認識しており、検討する」と話す。
小島准教授は「人手不足を背景に国が外国人の受け入れを拡大する中、子どもの教育体制の整備は欠かせない」と指摘。「義務教育の延長にある高校を卒業するまでサポートし、地域の一員として育てていくことが大切だ」と力を込める。(小林可奈)
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