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岐路に立つ地上イージス 秋田は見直し検討/山口は推進 割れる国対応、山口に不満
地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画を巡り、防衛省は山口県の陸上自衛隊むつみ演習場(萩市、山口県阿武町)を西日本の配備先の「適地」と結論付けた。一方、対になるはずの東日本の候補地である陸自新屋演習場(秋田市)は見直しを検討しており、山口だけを先行して進める国の姿勢に地元は反発を強める。岐路に立つ二つの「国防の盾」の現状と今後を探った。
■再調査
「むつみ演習場で安全に配備・運用できる」。昨年12月17日、同省の山本朋広副大臣は県庁で面会した村岡嗣政知事らに報告した。秋田でのずさんなミスに端を発した再調査だが、山口分は約2カ月で終わり結論は何も変わらなかった。
一方、秋田分は青森、山形両県の国有地を含む計20カ所で今も再調査中だ。国は「ゼロベース」での見直しを掲げるが、西日本の候補地は「むつみ以外に条件を満たす国有地がない」として「唯一の適地」である点を強調している。
■住民説明
こうした秋田との対応の違いに山口では不満が高まる。昨年12月下旬、萩市と阿武町であった国の住民説明会で参加者からは「山口も見直しを」「むつみだけ先に進めるのか」との批判が相次いだ。
国が新たな判断要素とする「住宅地からの距離」に対する質問も目立った。県庁所在地で市街地に近い新屋と山間部のむつみでは立地条件が異なるが、阿武町の「町民の会」の吉岡勝会長(66)は「田舎で人が少ないから犠牲になれと言うのか。命の重さに大小はないはずだ」と憤る。
一方、演習場のある萩市むつみ地区の説明会では地域振興を引き合いに「諦め」を口にする住民も。参加者数も阿武町の半分以下にとどまった。同地区では住民主催で非公開の説明会もあり、地元老人会の男性(80)は「反対してもしょうがない。今後の補償のことを考えていく」と明かす。
■今後の焦点
仮に新屋が「不適」となれば、むつみも見直されるのか。すでに国は2018年8月、山口県側からの同様の質問に「大幅に離れた地点が新たな候補地になるとは想定しがたく、ただちにもう一方も見直しにはならない」と回答している。
今回の再調査でも国は「山口、秋田の一部地域への配備が最も効果的」と繰り返す。この見解を踏まえ村岡知事は「別の場所になれば、むつみ配備の意義を国に確認する」と指摘する。
秋田県の再調査は3月まで。その後、地元説明を始める予定だ。秋田の調査結果について中国四国防衛局の森田治男局長は「山口県での関心も高い。結論がでれば必要に応じて説明する」と話している。(和多正憲)
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