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苦い幕引き真相は闇  広島市議会 広島高速5号二葉山トンネル問題

2020/1/26 14:11

 広島高速5号二葉山トンネル(広島市東区)の工事費を巡る問題で、広島市議会は13日、広島高速道路公社(東区)が求める大幅な増額を認めた。多くの議員が真相究明よりも事業推進を優先させた。不適切な価格交渉に基づく契約は、誰がどう主導したのか。真相は闇に包まれたまま、苦い幕引きとなった。

 「こんなばかなことがあるかと思った。でもこの高速道路事業は進めないといけん。少しでも早い完成を望む人はたくさんいる」。松井一実市長の市政運営を支える最大会派、自民党市民クラブの宮崎誠克氏(佐伯区)は、議場で声を荒らげた。再発防止の徹底を市に求める付帯決議を巡り、反対する市政改革ネットワークや共産党の市議から「意味がない」「恥ずかしい」と責められたからだ。

 公社と共同企業体(JV)の間でまず約200億円で契約し、後で増額するとの合意があったのではないか―。この疑惑の解明が焦点の一つだった。一部会派は建設委員会で公社側の参考人出席を模索。最大会派の中でも「直接意見を聴くべきだ」との声があったが、委員会採決では反対が多数を占め、議会が公社側に直接聞き取りをする機会は失われた。

 本会議や建設委員会で市議が問いただしても、市側の答弁は「事前の合意はなかった」とする第三者委員会の見解を引用するだけ。13日の本会議で退席し、同意案の採決に加わらなかった山内正晃氏(市民連合、安佐北区)は「事業は必要と思うが、支持者に説明できる段階にないと判断した」と言う。

 審議では、公社設置者である市の当事者意識の低さも浮かんだ。公社の幹部職員はほぼ県市からの出向だ。公社の組織としての健全性に、市側は「独立した公社の問題」とのスタンスを貫いた。しかし議会の可決後、松井市長は報道各社の取材で市民に陳謝した。

 広島県と市が、公社から増額問題の報告を受けたのは昨年7月。公社が問題を公表したのは同10月で、その間の9月に始めたトンネル工事は予算ベースで5割を終えた。「二葉山トンネル建設に反対する牛田東三丁目の会」の棚谷彰代表(78)は「可決するしかない状況を公社自らが生み出している。公社の体質の問題だ」と指摘している。(加納亜弥)

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