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二葉山トンネル増額決定  広島県議会も変更案可決

2020/1/26 14:17
JR広島駅(右下)の北側で掘削工事が進む広島高速5号二葉山トンネル(広島市東区)

JR広島駅(右下)の北側で掘削工事が進む広島高速5号二葉山トンネル(広島市東区)

 広島県議会(定数64)は16日の本会議で、広島高速5号二葉山トンネル(広島市東区)の事業費を大幅に増やし、5号と2号を連結する整備計画の変更同意案を賛成多数で可決した。広島市議会も13日に可決しており、両議会は、不適切な対応で事業費が87億2千万円も膨らむ事業について、真相が十分に解明されないままで進めることを認めた。事業主体の広島高速道路公社(東区)は今後、国に変更許可を申請する。

 県議会の採決では自民議連の中本隆志議長を除き、自民議連32人、民主県政会14人、公明党議員団6人、自民党大志会1人、ひろしま令和会1人の5会派で計54人が賛成した。反対したのは3会派の計9人で、内訳は自民党広志会・つばさ7人、自民党議員会1人、共産党1人だった。

 採決に先立つ討論で、自民党広志会・つばさの佐藤一直氏(中区)が反対する理由を表明。「増額を前提にした契約との疑いが拭えず、事業の正当性を裏付ける費用対効果にも疑いが出ている。何が問題だったのかを徹底的に明らかにするべきだ」と主張した。賛成の立場の討論はなかった。

 賛成した主要3会派は本会議後の取材で、事業の必要性を理由に挙げた。その上で、自民議連の冨永健三会長は「公社は二度と繰り返さないよう反省し、信頼回復に取り組んでほしい」と語った。民主県政会の中原好治会長は「十分解明できたとはいえず、後味は悪い」、公明党議員団の栗原俊二団長は「公社の課題は多い。原因の解明には限界を感じた」と振り返った。

 変更後の整備計画は、広島高速道路全体について、事業費を310億円増やして4310億円に、完成時期は4年延ばして2024年度にする。高速5号は22年度、5号と2号の連結は24年度の完成を目指す。

 湯崎英彦知事は本会議後「県民の信頼を損なうような事態を招き、深くおわびする。県議会の意見を真剣に受け止め、丁寧な説明に努めながら、着実な整備に取り組む」と述べた。(村田拓也)

 【解説】ずさん契約 解明せぬまま

 巨額の事業費が増額される広島高速5号の整備を巡り、広島県と広島市の両議会はずさんな契約の真相を十分に解明しないまま、事業推進を容認する判断を下した。なぜ、どんなプロセスで交わされたのか。解明する手だてが十分に尽くされたとはいえず、チェック機能の甘さを露呈した。

 「どう見ても不自然だ」―。受注業者が3度目の見積書で突如、約100億円の減額を示し、広島高速道路公社がそのまま契約した事実を、大方の議員が疑問視した。採決ではしかし、その多くが「事業の推進」を理由に賛成へ回った。

 ただ、関係者によると、仮に整備計画の変更同意案が否決されても、直ちに工事が止まる状況ではないという。県と市、公社は、事業の着実な推進を増額の大義名分として掲げてきた。両議会もまた同じ論理で、必要な真相解明に背を向けたと言わざるを得ない。

 両議会では一時、契約した当時の公社理事長たちの参考人招致が浮上し、県議会では特別委員会の設置が提案されたが、いずれも実現しなかった。県議会建設委員会は再発防止に向けた取り組みを県に促す付帯決議を可決したが、真相解明という点で実効性はない。

 増額に伴って県と市が追加負担する金額は、来年2月に諮られる見込みだ。両議会は「決してこれで終わりではない」(中本隆志県議会議長)との姿勢を有言実行し、県民の疑念を拭い去る責任を果たす必要がある。(樋口浩二)

 <クリック>二葉山トンネルの事業費増額問題 広島市東区のJR広島駅北口と広島高速1号温品ジャンクション(JCT)を結ぶ広島高速5号のうち、二葉山トンネル(1・8キロ)の工事契約で発覚した。トンネル西側の1・4キロを掘る工事を巡り、広島高速道路公社(東区)と受注した共同企業体(JV)が2016年5月、一部の工事費を意図的に除いて契約していた。公社の第三者委員会はことし3月、事業費の上限とJVの受注希望額に開きがあったため、公社が契約後の増額をJVに持ち掛け、契約にこぎ着けたと指摘した。

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