【山口考 保守王国】<2>国・県・市町の役人ネット 政策誘導、結び付き深く
▽「近代国家担った」自負も
「私には国や県とのパイプがある」。2018年5月の市長選で初当選した防府市の池田豊市長は選挙期間中、山口県の元総務部長の経歴を前面に押し出した。
防府市は5期20年務めた前市長の松浦正人氏が市町村合併せず単独市制を貫いていた。国や県の意向に沿い合併を進めた市町が多い県内では異色の存在。それだけに松浦氏の後継候補と戦った池田氏には全面的に自民党県連のバックアップが入った。池田氏の当選後には「やっと防府を陥落させた」との自民党関係者の声も聞かれた。
▽官僚輩出の歴史
中央集権の色濃い戦前と違い、建前上は国や県、市町が同じ立場の現在。だが山口では国から県、市町へと政策誘導する力が強いと多くの人が口にする。背景には国会、地方を問わず与党の自民党議員が圧倒的多数を占める政治状況と、地元から官僚を多く出しているというお国柄を指摘する声がある。
かつて明治維新の勝ち組として政府の中枢へ多くの人材を送り込んだ山口。東京県人会を兼ねる公益財団法人防長倶楽部の村野仁事務局長は「会合で山口出身の首相と役人は多いという話がよく出る」と話す。その役人ネットワークの中でも県庁出身者は重要な役割を果たしているとされる。
池田氏は市長就任後すぐさま公約に掲げた県農業試験場(山口市)の誘致で県と話をまとめた。懸案だった市役所建て替えについても松浦氏が推す案を覆し、県の出先機関との合築を打ち出した。県の総務部門トップの出身だけに古巣との連携はお手のものとばかりに物事が進む。
池田氏は「長く行政にいたせいか頭が固く、進んでアイデアを出すのは苦手。だが、もともとあるものをより良くアレンジするのは得意だ」と語る。市長選で支援した地元の島田教明県議は「県の内部事情に精通しているから有益な事業を引っ張ってくるのがうまい。国への要望も寸暇を惜しんで省庁回りに汗を流す。まちづくりは着実にステップアップしている」と評価する。
そんな池田氏に対し、前市長の松浦氏は「県の言いなりになるな」と言い残し市役所を後にした。一方、池田氏は「私のことを県の言いなりだと批判する声もあるが、そう言われるのは心外。持っているノウハウを生かし国や県に金を出してもらう。そのスタンスを貫くだけだ」と主張する。
▽腹心でスカウト
県内では池田氏以外にも山口市の渡辺純忠市長が県出身。また、周南、下松、萩の副市長は県から来ている。前職にまでさかのぼれば防府と下関、長門の前副市長も県出身者。県と各市町の人的結び付きは深い。
また、県議出身の市長の場合、県から副市長を招くケースも少なくない。県議時代に答弁の調整などで議会棟へ足を運ぶ県幹部とは気心が知れ、腹心としてスカウトする構図だ。
かつて県議出身の市長から請われ幹部を送り出した元知事の二井関成氏は「県や国との関係をうまく縫い、政策に通じた人材をと求められた。県の方から好んでやっているわけではないのだが」と説明する。
一方、国や県からの政策誘導を巡り、自民党県連の鈴木匡信事務局長は長州人には明治以降の近代国家の中枢を担ってきたとの自負が強いと指摘。「地元の安倍首相や自分たちが代表として送り出した国会議員が決めた政策に沿って県や市町がまちづくりを進めるのは当たり前」と言い切る。
元自治省(現総務省)官僚でもある二井氏は「県内の自治体はどこも財政難で何をするにも国の大きな方向性に乗らざるを得ない。私自身も行政マンの延長で知事をやっていたから右へ倣えは理解できる」と振り返る。(門脇正樹、原未緒)
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