地域ニュース

【報道陣との質疑応答の要旨】

2020/2/15 1:42

 ―処分の時も本部長は出席したが、記者と質疑には応じなかった。今回もだ。

 (川崎契刑事部長)捜査の責任者は私。処分は監察官が担当。それぞれが対応すると組織として判断した。

 ―組織としての説明責任はそれでできるということか。

 (刑事部長)はい。

 ―どうやって容疑者を特定したのか。

 (刑事部長)容疑者は生前贈与をかたる広域詐欺事件の捜査に従事していて、現金の保管管理状況や金庫の鍵の保管場所を知っていたこと、また犯行当時、金融機関や同僚から約9300万円の負債があったことだ。これが動機面。また、2017年3月26日から同5月13日までの間に、少なくとも約8100万円の原資不明金があることが判明した。それとともに、競馬などで多額の現金を得た形跡は認められなかった。総合的に状況証拠を積み重ね、犯人を特定した。直接証拠はない。また、8572万円についても、その後の捜査で確認はできていない。現金自体を見つけたというのはない。

 ―8100万円の原資不明金はどうなったのか。

 (刑事部長)使い道としては、同僚らに多額の返済をしていたことが分かった。ほかには金融機関のカードローンや競馬など。裏付け捜査で分かっただけで8100万円だった。競馬投票は、裏付け捜査では全額は分からないが、インターネットで投票できるアプリを利用していたので分かった。それに加え、競馬場での捜査で判明している分を計算し、少なくとも8100万。他にも、交通費や生活費、現金での購入などを加味すると8500万円になるとみている。

 ―共犯性はどう否定したのか。

 (刑事部長)非常に時間がかかった。先ほど言ったように関係者が600人いる。警察署のちょうど異動期を挟んだため、異動前後の人や退職者、出入り業者を含んでいる。可能性がいろいろある。つぶしの捜査というか、銀行口座や会員制交流サイト(SNS)などの通信の徹底捜査をした。通信記録がないか、多額な借金がないか、分け前がないか、不審な金がないかとか、全てつぶした。関連性がある者はなかった。容疑者の金の流れをみていくと、分け前の流れが一切なかった。確認にかなり時間がかかったが、徹底した捜査で、共犯性がある者はいないと判断した。

 ―物的証拠はないということだが、もともと容疑者の警部補は否認をしていたはずだ。亡くなった時点から捜査に進展があったのか。

 (刑事部長)亡くなった後の捜査で、分かっていなかったのは犯行日時。昨年の段階の説明だと証拠品の確認をした17年の2月3日と3月15日以降、5月8日の発覚までの間、いつの犯行かが分からないという状況だった。金の流れをみると、(3月)26日を境に、全部説明がつくようになる。それまでも競馬はやっていたが、例えばこれはAさんから借りたお金、これは消費者金融というのが分かる。ただ26日から、原資不明金になる。消費者金融の限度額を借りていたのに、その段階から8100万円がいきなり出る。ぽんと大きいお金が動くので特定できた。あとは共犯性のあるかないかが分かっていなかった。照会は6万4千件、関係者は600人と先ほどいったが、調べるのは1人1件ではない。家族も、銀行だって莫大(ばくだい)ある。関連銀行を全部(捜査)しないといけない。SNSの照会の回答も時間がかかる。そうして、共犯性の履歴がないと確認できたのがこの2月。共犯性や他の犯人の可能性を確実に払拭(ふっしょく)できたというのが、死亡して以降の進展かな、と。例えば、宝くじや遺産など多額の金が入る臨時収入があったら説明がつくが。そういうつぶしの捜査もやった。一番時間がかかったのは600人のつぶし捜査。共犯性を払拭する捜査ができたと考えている。

 ―600人を全て、確実にシロにした、と。

 (刑事部長)そうです。

 ―3月25日以前だと高額な金の動きがないのか。

 (刑事部長)競馬はやっていたが、収支の説明がつく。借りた金とか。財務捜査と呼ぶものだが、それまでは(25日以前)は全て、「金融機関から借りた金」などと説明がつくのに、26日を境につかない。また、26日は(警部補は)中央署の日直の責任者だった。金庫内の現金は3月15日に最後の確認をしていて、警部補は4月1日で異動している。3月31日までの彼の日直、宿直は26日しかない。26日は責任者として、署内の鍵を管理する立場だった。一応(署内の)どこでもいける。巡回任務もあるし、日直責任者が会計課にいても、怪しまれない。説明がつく。自由に鍵が使える立場。そういう日は、一日しかない。金の流れとも合致した。この日しか実行できない。決め手はそういうところだった。

 ―日直中の時間帯のどこかでの犯行ということ?

 (刑事部長)はい。

 ―何回かに分けて盗まれたという見方か。手段は。

 (刑事部長)回数については1回と考えている。やはり何回もやるとリスクがあるので。当時の午後0時40分以降には、会計課員が勤務しに来ている。それまでの間とみていて、午前中しかない。彼の行動で分かっている範囲をみていくと、1回ではないかと考えている。犯行手段は、死亡しているので供述が得られないので分からない。実況見分、各種実験、関係者からの事情聴取の結果、日直責任者の容疑者が日直で保管していた会計課の鍵を使用して室内に入り、工具のようなもので引き出しを開けて、金庫の鍵を取り出して現金を窃取して、元に戻したとみている。そういうふうに推測して実験したらできる。なぜかというと、会計課は普通は証拠品預けないところ。本来は主幹の生活安全課の特殊物件保管庫に収めるべきだが容量が十分になかった。規定にも容量がない場合は紛失防止に配慮して、変えてもいいとなっていた。だからそこにいれていた。

 ―当直で警部補が席に一時いなかったのか。それを見た人はいるのか。

 (刑事部長)供述がとれている。何回も席をたっていたと。責任者なので、巡回もするが、実際に庁舎外に出ていたということも分かった。

 ―1回で持ち出したということだが、どうやって署外に行ったのか。

 (刑事部長)おそらく、日直主任で何回か外に出ている形跡もある。ただ、そこは供述が得られていない。まさかそういう事案が起きるとは思わないし、閉庁日なので誰もいない。生活安全課の捜査員で部屋にも出入りしているので、同課内の自分のロッカーに入れたかもしれない。どこで隠して、どこで搬出したかは分からない。

 ―決め手は、26日を境に原資不明金が動いたというのが一番大きいのか。

 (刑事部長)犯行日の特定は、そういう理由だ。あと日直主任だったのが決め手。

 ―金の収支で原資不明金があるのは早い段階から分かっていたのか。

 (刑事部長)(発覚)当初は(最後の確認日から発覚までの)期間が長すぎて分からなかったので、詳しい財務捜査まではできてなかった。犯行日を特定しないといけなかった。特に本件は容疑者が死亡している。死亡送致は裁判がないので一般事件より送致のハードルが高い。最低でも犯行日時の特定は必要ということで、財務捜査をし、判明。昨年の春の段階では特定されていなかった。

 ―昨年の春時点で、財務捜査はできていなかったということか。

 (刑事部長)各種関係者の事情聴取は続いていた。

 ―収支の出し入れはどうか。どう判明したのか。証拠品からか。

 (刑事部長)本人はインターネットの競馬をやっているので、それを調べた分の収支は分かる。これが大きい。関係者から原資不明金の行き先を聞いたり、金融機関の貸し借りを捜査したりすれば分かる。そこらで立証した。立証できない飲食とかを含めると、完全には(収支は)分からない。インターネット競馬以外の、直接の馬券購入も分からないこともある。100%確実な収支の把握ではないが、把握できた分だけでも8100万円あるということは、8500万円に相当するものをとっているということ。他の関係者に流れている要素はない。ほとんどが借金返済と競馬。8100万円の内訳は競馬投票6400万円、あとはカードローンや同僚への返済。

 ―3月26日に日直主任で、午後0時40分から会計課員が来た。犯行時間はどの程度まで絞れているか。

 (刑事部長)午後0時40分以降に原資不明金が出ているので、それより前だとみている。

 ―原資不明金とは。

 (刑事部長)インターネット競馬への入金など。

 ―犯行時刻の起点は。

 (刑事部長)午前8時半からが日直勤務なので、午前8時半から午後0時40分までの間だと思っている。

 ―今日の送検で捜査本部は解散するのか。

 (刑事部長)一応送検が今日午後1時から2時半までの間に終わった。自信をもって特定したので、捜査は打ち切り。もろもろの対策はもちろんあるが、本件の被疑者の捜査は終結。

 ―広島中央署の署長が3月で退職を控えている。それを踏まえての、今回の送検になったのか。

 (刑事部長)全く関係ない。被疑者を特定したから送検した。

 ―3月26日から5月までの間に、一気に8100万円が動きだしたという話。昨年の春は分かってなかったとのことだが、分かったのはいつか。分かって初めて警部補が容疑者となり、共犯性を消していったという理解でいいか。

 ―(刑事部長)私以下65人で捜査している。こればかりではなく、ずっと並行してやっていた。お金の流れがきれいに整理できたのは昨年末ごろ。ただ、それだけで特定できるわけでなく、つぶしの捜査や未了のものがたくさんあった。照会6万4千件というが、地方銀行、SNSや消費者金融などは管理会社が外国だったりしてすぐに回答が来ない。照会や回答に時間かかるのと、回答を得てから捜査が始まる。これは不明金だとかの追跡も全部。ずっと並行して2年9カ月。非常に時間がかかったが、そこまでしないと容疑者死亡では自信持って送れない。

 ―盗んだこと以外のお金のトラブルはあったのか。

 (刑事部長)詐欺というのはなかなか立件が難しいが、あきらかにうそをついて借りているものについては、寸借詐欺で立件して送致した。16年3月〜17年2月までの間、同僚6人に対してうその事実を告げて、26件で被害総額1810万円を詐取したもの。

 ―うその事実とは。

 (刑事部長)「内偵捜査中にトラブルになって相手にけがを負わせた」とか、「治療費や口止め料として金銭を要求されている」「浮気相手の旦那から慰謝料請求をされている」「妻がクレジットカードを使い込んだ」などと言っているが、いずれも事実になかった。

 ―被疑者はどういう人となりか。事件の発覚から4カ月後に亡くなった理由は何なのか。

 (刑事部長)若くて警部補になっているので、仕事もやることはやるし一般的には優秀な警察官と評価されていた。悪いうわさはあんまりなかったと聞いている。死亡は当時の検視で、他者の介在が認められず、犯罪性のない、不詳の病死と判断している。

 ―大量の薬を飲んでいたとの情報もある。

 (刑事部長)総合的に検案した結果、病死と判断した。

 ―もともと病気を患っていたのか。

 (刑事部長)そこまでは把握していない。

 ―大量の薬は飲むのは不思議だ。自殺の捜査もしたか。

 (刑事部長)両面でしているが、結論は病死と検視で判断した。

 ―行き過ぎた捜査はなかったか。

 (刑事部長)どういう点で行き過ぎてるというのか。

 ―密室で警察官同士の取り調べ。言葉で追い込むなどはなかったか。

 (刑事部長)取り調べは任意で適切にしている。

 ―亡くなられるまでに任意で話している時はどう説明をしていたのか。その時点で借金は把握していたんじゃないか。

 (刑事部長)取り調べの詳細は控えるが、5月15日〜9月11日までの間に9回取り調べをしている。窃盗の事実は一貫して否認していた。

 ―容疑者が亡くなっていたのは自宅か。

 (刑事部長)コメントは控える。遺書はない。

 ―金の流れの整理ができたのは、去年末か。

 (刑事部長)3月26日を境に原資不明金が出たという、全体的な流れをおかしいなというのが判明した。

 ―借金について、同僚たちに相談はなかったか。

 (刑事部長)お金がないとか、そういう相談を受けているものはいない。

 (首席監察官)組織的には把握できてなかった。

 (刑事部長)そこをやっぱり反省している。

 ―証拠品のチェックの期間が空いている。管理体制の不備が長期化の要因になったのではないか。

 (刑事部長)そうですね。確実に引き継ぎなど管理に対する規定の不備はあった。今はいろいろ改正している。

 ―証拠品管理の問題が捜査長期化につながったのか。

 (刑事部長)管理体制の不備は起きた原因にはなっているとは思う。これがきちんとなっていれば起きなかったとは言える。

 ―ダイヤル錠を使っていなかったことが関係するのではないか。

 (刑事部長)証拠金の出納の体制、確認の規定、引き継ぎの規定が、今のようにできていれば、起きていないかもしれない。

 ―ダイヤル錠の問題は。

 (刑事部長)ダイヤル錠を開放したまま、一つの鍵だけでやっていたのが今回は決定的。容疑者本人は2月3日と3月15日に会計課での出納を確認している。そのときにダイヤル錠使ってないとみている。それをしていれば生活安全課の者にはダイヤル錠の番号までは把握できない。今はもちろん併用するようにはしている。そのとき怠っていたのが一番大きな原因。

 ―今回の送検容疑は窃盗、建造物侵入、寸借詐欺の3件か。

 (刑事部長)はい。

 ―警察庁ともやりとりをしている。具体的にどのような指示があったのか。長官人事は影響したのか。

 (刑事部長)警察庁だけでなく、地検もですね。警察庁に当然、必要な報告、協議はするけれども、あくまで今回の犯人の特定とか、送致の判断は広島県警の責任においてやったもので、警察庁は関係ない。本部長指揮事件。長官の異動も関係ない。犯人が特定できたから送るということ。

 ―日付の特定に至るのも県警の捜査で詰めていったのか。

 (刑事部長)はい。

 ―5月8日までかなりの期間、盗まれたかどうか分からない状況があった管理体制に対して、どのようにしていればよかったと考えるか。身上把握は普段どのようにやっていて、金を貸していた同僚からの話もなかったのか。具体的に。

 (刑事部長)今回の一番の原因は証拠品を確認していないこと。会計課長も生活安全課の事件の証拠品なのでそこまで見ていなかったのが原因。しかも9千万を超える大きいお金。それを入れる段ボールを重ねて置いていた。外からだと見えないという置き方も問題点。警察署の保管庫の大きさを調査した。足りないところの大容量の金庫を設置したし、入りきらないのは本部に保管施設をつくった。今後、証拠品を会計課に預けることはない。

 ―容疑者の発表が匿名なのはなぜ。検討はあったか。規定はあるのか。

 (刑事部長)本件は任意捜査。実名の公表は控える。被疑者は死亡している。被疑者側の遺族の感情に配慮。総合的に検討した。規定基準はない。原則任意捜査ではないので。

 ―容疑者の経歴は。

 (首席監察官)14年9月1日から17年3月31日まで広島中央署生活安全課。17年4月1日から生活安全部の生活環境課。9月16日に死亡退職。

 ―匿名について。(09年に広島県北広島町で女子大生の遺体が見つかった)臥龍山の殺人事件での容疑者死亡での書類送検は実名だった。今回はなぜか。

 (刑事部長)臥龍山は残虐な殺人事件。本件は窃盗事件。刑の重さなども総合的に考慮して、判断した。

 ―2年半以上も捜査。適切に進んだという認識か。

 (刑事部長)結果的に2年9カ月かかった。そのときそのときで、最善の捜査をやった。

 ―3課を中心に、人や時間を割いてきた。税金がかかっている。県民に対して影響を与えたのでは。

 (刑事部長)県民の方に大変申し訳なく思っている。

 ―いつごろ容疑者としての可能性が高まったのか。

 (刑事部長)容疑者として浮上したのは17年5月の中旬。発覚間もなく。だが、特定するだけのものがなかった。

 ―動機について。17年3月26日時点で、同僚からの借金やローンと合わせて9300万円の負債がある。一方で、原資不明金の多くを競馬に充てている。借金返済に充てるための借金だったのか、単なるギャンブル好きだったのか。

 (刑事部長)借金9300万円でマックスに達していた。消費者金融も限度額まで借りていて、もうこれ以上借りれない状況に陥っていた。それは一番大きな動機。資金洗浄についてだが、5月8日に事件が発覚して、そのとき本人は異動している。9日に認知。それから最初の土曜日が5月13日。その日に捜査をした結果、県外の馬券場で4800万円近くの馬券を現金購入している。供述は取れてないが恐らく、発覚してばれるのでお金を処分するために馬券を購入した。そこらへんも不審ですよね。4800万円も持っているはずない、おかしいですよね。しかもわざわざ県外に行って。

 ―長期化した理由について、精査したということだが、容疑者が死亡したこととの関連は。容疑者死亡についてどう受け止めたか。

 (刑事部長)長期化した理由は供述が得られなくなったのがあるとは思う。引き継いで調べていけば供述は得られる。被疑者の死亡が長期化の要因でもある。亡くなったことについてはあってはならないことで、残念。厳しい捜査をやったからとか、そういうことが直接の原因になったとは思わない。取り調べ自体、圧力がかかるものなので、精神的に追い詰められた状況ではあったかもしれないが。

 ―容疑者の司法解剖はしたのか。

(刑事部長)司法解剖はしていない。

 ―容疑者は否認し、死亡している。容疑者特定までの捜査は自信持ってやり尽くしたという認識なのか。

(川崎刑事部長)そう思っている。

 ―亡くなられたときの状況は。

(刑事部長)事件と直接関係ない。コメントは差し控える。

 ―もし薬を服用していたならば自殺の可能性があるのでは。

 (刑事部長)コメント差し控える。

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