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呉名物細うどん「一心」2月末閉店

2020/2/21
店の誇りを刻むTシャツ姿でうどんを作る坂本さん

店の誇りを刻むTシャツ姿でうどんを作る坂本さん

 呉市の発祥とされる名物細うどんの老舗「一心」が今月末で閉店する。4代目店主の坂本悠城さん(34)が、従業員でもある家族の体調不良などを理由に決めた。1940年に創業し、呉空襲での店舗焼失による屋台での営業を経て80年。地域で長年親しまれてきたうどん店が幕を下ろす。

 細うどんは、出港前の慌ただしい海軍軍人や忙しい海軍工廠(こうしょう)の人たちのために生まれたとされ、現在は提供する市内約30店で研究会をつくる。一心では初代店主の佐藤小七郎さんが作り始めた。直径約3ミリでゆで時間が短く、かけうどんなら注文から提供まで約30秒。現在の同市西中央に店を移して50年以上がたつが、提供のスピード、いりこベースのだし、午前7時半からの営業などの伝統を、親類3人とアルバイト1人で守ってきた。

 閉店を決めたのは約1年前。遅くまでの仕込みや早朝営業などが重なり、母の橋本真枝(さなえ)さん(58)は体調を崩しがちに。入院も経験した。他の従業員も過労で体調が優れず「命には何も代えられない」と決心。店に立ち続けた父の俊明さん=当時(76)=を2015年に脳出血で亡くしたことも、大きな理由になった。

 今月に入り、閉店を知らせる紙を入り口ドアに張った。昼時には連日行列ができ、広島県外からもファンが訪れる。涙する客もいる。坂本さんは80年の長さに思いをはせ「みんなで守ってきた一心を、愛された店のまま終わらせたい。呉に細うどんの文化を残せたことは誇りです」と胸を張る。

 午前7時半〜午後3時の営業だが、麺がなくなり次第終了する。火・水曜は定休日。Tel0823(24)1172。(池本泰尚)


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  • 客にうどんを提供する従業員たち

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