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【神楽の国 石見】第2部 新風<1>英語上演 伝える工夫心掛け口上

2020/3/9 20:07

英訳の日本武尊を稽古する道川神楽社中のメンバー

 「Beware beware」(ぬかることなく、ぬかることなく)。演目「日本武尊(やまとたけるのみこと)」で、賊首(ひとこのかみ)役が迫力ある口上を響かせた。

 益田市匹見町の道川神楽社中は、市内の外国人向けのイベントなどで石見神楽を英語で上演している。日本語が分からない人にもストーリーや魅力を分かりやすく伝えようと心掛ける。

 ▽発音から稽古

 きっかけは2016年、鑑賞した米軍岩国基地からのツアー客の反応が「いまひとつ」と感じたことにある。市内在住の通訳に依頼して、「日本武尊」と「天神」の2演目を英訳。シェークスピアの劇の言い回しなどを基に、古風なリズムで訳してもらった。日本の文化や歴史が伝わるようにせりふも加えた。

 20〜80代の団員が発音の基礎から稽古を重ね、18年2月にドイツ人ツアー客の前で初めて披露した。「ストーリーがとてもおもしろかった」と好評で、代表の河本亮さん(54)は「神楽の世界に入り込んでもらえた」と手応えを振り返る。

 今年は石見神楽を代表する演目「大蛇」の英語上演に挑戦する。分かりやすいストーリーで、見た目も派手。外国人受けが期待できるという。既に台本の英訳を始めており、年内の完成を目指す。今後は広島県などでも上演したいという。

 ▽文化理解促す

 官民でつくる石見観光振興協議会(事務局・島根県西部県民センター)も、外国人向けの対応に力を入れている。「大蛇」や「恵比須」など人気の5演目を対象に、あらすじを英語で説明する音声ガイドを初めて作った。

 1演目当たり1、2分で、上演前に流す。ストーリーにとどまらず、「結婚式など縁起のよい機会に演じられる」(恵比須)などと、日本文化を理解しやすいよう補足説明を入れた。

 同協議会は近く、希望する団体に無料で配る。「見ても楽しめる石見神楽を、より深く味わってもらえるようになる」と自信をのぞかせる。

 石見地域で神楽を鑑賞する外国人観光客が増えつつあるのを受け、知恵を絞り始めた神楽の担い手たち。河本さんは「神楽は神事。舞や口上の伝統は当然守り、その上で新しいことに挑戦する」と強調する。山あいの集落に、神楽を目当てに外国人が大勢訪ねて来るようになる―。そんな未来を思い描く。(根石大輔、梨本晶夫)

    ◇

 石見地域で脈々と受け継がれる神楽。衣装に発光ダイオード(LED)を仕込む演出の開発や、「カープ女子」ならぬ女性ファングループの誕生など、伝統芸能の枠にとらわれない新しい風が吹く。日本遺産の認定を弾みに活性化を図る地域住民の挑戦を紹介する。

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