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「勝手踏切」閉鎖へ協議開始 可部線死亡事故受け地元・行政・JR

2020/3/10
2月に高齢者が列車にはねられ死亡した可部線の事故現場。幅70センチほどの里道が続いている

2月に高齢者が列車にはねられ死亡した可部線の事故現場。幅70センチほどの里道が続いている

 広島市安佐南区緑井8丁目のJR可部線で先月、線路を渡っていたとみられる高齢者が列車にはねられ、死亡した。現場は線路沿いのガードレールに隙間があり、線路に出入りできる「勝手踏切」。もともとは里道が通っていた場所で、線路を渡る住民が後を絶たない。事故を受け、勝手踏切の閉鎖に向けた地元と行政、JRによる協議が始まっている。

 現場は七軒茶屋―梅林間にあり、住宅地と県道の間を線路が通る。県道側にガードレールがあるものの、約1メートルの隙間がある。住宅地側にはガードレールはなく、線路に立ち入りができる。2月19日朝、運転士が人影を見つけて非常ブレーキをかけたが、近所の70代女性がはねられ死亡した。

 住民や区によると、現場にはもともと里道が通っていたが、里道を遮る形で1910年に線路が敷かれた。約100メートル先には遮断機と警報機が付いた踏切がある。事故現場には「大変危険」「立ち入らないで」との看板が掲げてあるが、勝手踏切に入る住民は多い。近くの60代男性は「県道側にコンビニがあり、通り抜ける人をよく見かける」と話す。

 事故を受け、再発防止検討会が3日に現場で開かれJR西日本広島支社と安佐南署、里道を管理する区維持管理課、里道北側の世帯でつくる第一市の坪自治会が出席。「住民との合意を得ながら閉鎖の方向で取り組みたい」と確認した。今後、里道の南側の緑井上組町内会と西側の小原自治会とも協議する。区維持管理課の山根健課長は「危険と認識しているが、利用者がいるため閉じていない。地元の合意があればJRと協力して取り組む」とする。

 同支社によると、管内の山陽、呉、可部、芸備、福塩の広島県内5路線には里道につながる勝手踏切が約900カ所あり、うち可部線は約60カ所ある。同支社は、勝手踏切の封鎖には地元の合意が不可欠としている。

 一方で、18年4月に安佐南区長束6丁目の可部線安芸長束―下祇園間で男性が列車と接触し重傷を負う事故が発生。JRは地元との協議を経て、フェンスで封鎖した。安佐北区口田南1丁目の芸備線戸坂―安芸矢口間では今年1月、80代女性が死亡する事故が起きたが、住民合意が得られず、封鎖されていない。

 広島工業大の伊藤雅教授(交通計画)は「事故をなくすには住民に納得してもらい封鎖するほかない。それでも住民が通りたいなら、歩道橋や地下通路などの方法もある。住民の意向をくみながら行政が中心となって安全対策を考えるべきだ」と指摘する。(高橋寧々)


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