のり面崩壊なぜ 庄原の芸備線脱線事故1週間、車両の撤去めど立たず
庄原市東城町のJR芸備線で発生した列車の脱線、横転事故から16日で1週間を迎えた。乗客はいなかったものの、国土交通省運輸安全委員会は「深刻な事故」と捉える。横転の引き金となった、のり面が崩れた原因も不明。山あいを縫って走る芸備線の安全対策には限界があるものの、乗客や住民からは厳しい目も注がれる。
JR西日本岡山支社によると、のり面は高さ約11メートル、幅約14メートルに渡って崩れ、約130立方メートルの土砂が線路に流入したことが判明。原因については「調査中」とする。
事故現場と同様に、山の斜面を削ってできたのり面と線路が近接する地点は、同支社管内の備中神代(新見市)―備後落合(庄原市)間に計127カ所ある。同支社は事故後、全箇所を対象に目視点検を始め、17日までに終えるとしている。
のり面はなぜ崩れたのか。
事故から3日後の12日に現場を訪れた、広島大大学院総合科学研究科の海堀正博教授(砂防学)は「のり面の地盤が水分を含み、強度が低下しやすい状況だったのではないか」と推測する。海堀教授の目視では、のり面は、水分を含みやすい暗褐色やこげ茶色の「黒ボク土」が多く、角張ったれきや岩の小片が混じる。土には湿り気があり、表面にコケがむしている。
さらに、のり面の上部に迫る山には、ところどころに岩肌が露出し、水がしみ出している。海堀教授は、山が蓄えた水分が市道の下の地中を通り、のり面に浸透していた可能性を指摘。ただ、「崩落の直接の引き金は分からない」とする。
16日、事故現場では小雪が舞う中、線路やのり面の点検作業が進んでいた。同支社によると、土砂の撤去は既に終了。のり面の崩落を防ぐ応急的な補修工事もほぼ終えた。計画では、車両を撤去した後、のり面をさらに補強し、運転再開を目指すという。
ただ、復旧のハードルとなっているのが、車両の撤去だ。線路は、のり面と成羽川の間の狭い幅を走っている。車両を引き上げるためのクレーン車を置く場所や方法が決まらず、運搬に使う大型のトレーラーが乗り入れるスペースの確保も課題となっている。
このため同支社は、事故後から運休している東城―備後落合間(25・8キロ)の復旧までの期間を、当初の「数日間」から「当分の間」に修正。運転再開の時期は見通せていない。
山際に沿って走り「秘境駅」のある鉄路として鉄道ファンらから注目を集めている芸備線。新見―備後落合間では4月4日から7月31日、上下線計5本の増便が予定される。庄原市西城町の沿線住民は「住民、観光協会、市が一体になり、芸備線に乗って地域を盛り上げようとしている時だけにショックが大きい」とし、早期復旧と安全対策の徹底を求める。
事故は9日朝に発生。新見発備後落合行きの快速列車(1両編成)が、線路に流入した土砂に乗り上げ脱線、横転した。同支社は17日に会見を開き、復旧見通しや撤去作業の方法などを説明する見込みだ。(小島正和、伊藤友一)
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