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サッカー場基本計画 現状と課題

2020/3/30

 サッカースタジアムの基本計画が30日にまとまり、広島市は市中心部の中央公園自由・芝生広場(中区)での建設に向けた動きを加速させる。2020年度には設計・施工を担う事業者を選ぶ手続きを始める計画だ。24年の開業を目指して具体的な姿を描く作業が本格化するのを前に、整備手法、資金調達、交通アクセスの三つのポイントで、現状や課題を整理した。

 ■整備手法 民間の視点を重視

 基本計画はスタジアムのデザインについて、近くの広島城と融和し、川沿いの立地にも配慮した「広島の新たなシンボルにふさわしい外観」とうたう。市の池田智彦スタジアム建設担当部長は「民間の柔軟な視点やアイデアを生かし、多くの市民に歓迎される形に仕上げたい」と力を込める。

 設計と工事をまとめて民間に発注する「デザイン・ビルド(DB)」方式を基本としている。設計のやり直しが少なくなり、工期の短縮やコスト削減につながると期待する。業者を選ぶ手続きは、価格の安さだけではなく、提案内容や価格以外の要素も評価の対象とする手法となりそうだ。

 スタジアムの運営も含めて「デザイン・ビルド・オペレート(DBO)」方式を採用する可能性も残す。建設に民間資金を活用する「PFI」方式も検討したが、業者を選ぶのに時間がかかるとして見送った。

 ■資金調達 交付金と寄付頼り

 概算の総事業費は230億〜270億円とはじく。当初は190億円と見込んでいたが、建設費や人件費が高騰したとして大幅に増やした。巨額の資金をどう調達するかは、建設に向けた最大の課題と言える。

 既にマツダが20億円、家電量販のエディオンが30億円の寄付を表明した。ふるさと納税制度を活用した個人の寄付でも2億円が集まり、これまでに手当てできたのは52億円となる。

 市は差額を埋める財源として、国の交付金と企業の幅広い寄付を頼りにする。にぎわいづくりや防災などの機能をスタジアムに担わせ、交付金だけで数十億円規模の獲得を目指す。

 企業の寄付では、税制優遇がある企業版のふるさと納税制度を使う予定。広島商工会議所(中区)に協力を仰いでいる。ただ、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で景気の失速感が高まる中、寄付集めが順調に進むかは見通しづらい。

 残る財源は市債の発行と広島県を含む公金の投入となる。市と県の負担額とその割合について、市は「まだ話は進んでいない」と説明。今回の基本計画を作る費用は、県と市が半分ずつ払っている。マツダスタジアム(南区)の建設では、市と県、経済界の負担は「2・1・1」だった。

 ■アクセス 公共交通利用促す

 基本計画によると、スタジアムの収容人数は3万人規模。都心部にあり、8割が公共交通で来場すると想定する。最寄りの駅やバスセンターからは徒歩で、主に南北から来場するルートを設定。幅の広い歩道や、回遊性を高めるペデストリアンデッキ(歩行者専用橋)を整備し、人の流れをスムーズにする。

 車での来場は7%と予測する。駐車場は市条例に基づいて180〜200台分を整備するが、渋滞を防ぐために試合当日は観客用には開放しない。市は「車ではなく公共交通の利用を呼び掛ける」と強調する。

 ただ、地元の基町連合自治会の中村和正副会長(78)は「動線がまだはっきりしない部分があり、送迎で車を使う人もいるだろう」と不安を口にする。基本計画は周囲の生活環境を守る対策の検討を明記しているとして「今後も住民の意見や要望をまとめる時間を確保してほしい」と求める。(新山創)

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