地域ニュース

不適正な身体拘束97件 中国地方の特養過去5年、同意や記録に不備(2018年02月12日掲載)

2020/4/5 23:05

 認知症などの高齢者への身体拘束の運用が不適正だったとして、中国地方5県の特別養護老人ホームが文書指摘の行政指導を受けたケースが過去5年間で97件あることが、中国新聞の取材で分かった。特養ホームなどでの身体拘束は利用者の生命や身体を守るため緊急でやむを得ない場合を除き、介護保険法の省令で原則禁止されている。厚生労働省が「人権擁護の観点で問題がある」として身体拘束ゼロを目指す中、不適切な対応が根強く残っている。

 ▽文書指摘の行政指導

 文書指摘は、改善計画の提出を施設に求める行政指導で、口頭指摘より重い。指導権限のある5県と11市に2013年度から17年度(1月末現在)までの実績を聞き取った結果、13年度16件、14年度19件、15年度38件、16年度17件、17年度7件(集計中の広島市と島根県を除く)と推移。5年間の県別の合計は、広島が35件で最も多く、島根29件▽岡山20件▽山口11件▽鳥取2件―と続いた。

 指摘事項で目立つのは、身体拘束をする際に義務付けられている記録の不備。拘束理由をきちんと記していなかったり、利用者の状態を随時確認していなかったりした。拘束を終える期限の記入がなく、一時的な運用が条件である拘束を常時していたことをうかがわせるケースもあった。

 拘束に相当な理由がないとの指摘も少なくない。拘束の前提となる、利用者や他の利用者の命や体が危険にさらされる可能性が高い▽替わりの介護方法がない―などの要件を満たさないと判断された拘束や、書面で得るべき家族からの同意を電話で済ませたり、期限が過ぎたのに再び同意書を得ずに拘束し続けたりする対応もあった。

 厚労省は、身体拘束の不適正な運用を巡る事業者へのペナルティーを18年4月から強める方針。拘束の記録に不備がある施設の事業者を対象に介護報酬を減らす制度の減額幅を拡大する。(鴻池尚)

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

アーカイブの最新記事
一覧