• トップ >
  • トピックス >
  • 【インサイド】感染者対応ピンチ 三次でクラスター、「3密」危険性浮き彫り

トピックス

【インサイド】感染者対応ピンチ 三次でクラスター、「3密」危険性浮き彫り

2020/4/13

 三次市のデイサービスセンターなどで起きた新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)―。感染者数は、三次、庄原市の備北地域で受け入れられる入院数を一気に超え、平時の検査や入院体制を維持する難しさを突き付けた。多くの高齢者が集まるデイサービスで感染を防ぐ難しさも明らかになった。クラスターの発生が地域に与える影響を探った。

 ■入院病床 広島県確保は119床

 広島県健康福祉局の田中剛局長は12日夜の会見で「指定医療機関の感染症の病床(計30床)はほぼいっぱい。場合によっては一般病床も使って感染者を受け入れている状況がある」と実情を明かした。県がこれまでに確保した病床は一般病院のベッドも含め119床。県は地域別の内訳を公表していないが、急性期の患者を診る病院が四つしかない備北地域にはそう多くないとみられる。

 一方、三次市では8〜12日の5日間のうちに、29人(居住地非公表の1人を含む)もの感染が分かった。比較的重い症状の人から入院しているが、12日時点では感染者の大半は自宅で調整を待っていた。13日には広島市内の協力病院への入院も進んだが、医師からは「今、もう一つクラスターが発生したら、県内のベッドがなくなる」と危ぶむ声が上がる。

 一方で、ある県職員は「院内感染が起きるのが一番心配。ベッドが空いていても感染防止ができなければお願いできない」と難しさを打ち明ける。対策を取らずに最悪のケースに陥った場合、人工呼吸器の必要な重症患者だけで169人に上るという試算もある。県は重症者の治療が滞らないよう、病床確保に加えて、無症状や軽症の人にホテルなどで療養してもらえるよう手続きを急いで進めている。

 ■ウイルス検査 150人分検査終わらず

 広島県は、今回の集団感染を封じ込めるため、感染者と接触した人を幅広く見つけて、無症状でも検査をしていく方針だ。県北部保健所(三次市)は12日、県の他部署や三次市の職員の応援を頼み、四十数人体制で接触者の聞き取りなどに当たったという。

 感染者とより密接に関わった人や症状のある人から順に、三次市の帰国者・接触者外来などで検査を行ってきた。12日には、検体のウイルス検査を、通常ルートではない広島検疫所(広島市南区)にも依頼したほか、ほかの県内の検査を岡山県に協力してもらうなどして急ピッチで進めた。

 しかし、新たな感染が分かるたびに検査の必要な接触者も増える。12日時点では、少なくとも対象者150人の検査がまだ終わっていなかった。

 ■介護

 人口が少ない中山間地域でも、高齢者が集まる介護施設を通じてクラスターが発生する危険性が浮き彫りになった。介護関係者は、デイサービスでは一緒に食事したり、カラオケをしたり、利用者同士が近くで会話をしたりして過ごす例が多いことを心配する。感染リスクの高い密閉、密集、密接の「三つの密」が起こりやすいからだ。

 デイサービスセンター水明園に加え、感染した利用者の自宅を訪ね、介護サービスをしていた職員のいる三つの介護事業所は休業した。県の田中局長は「無理に開くことで感染が広がるのは一番最悪な状況だ」とする。名古屋市が、デイサービス事業所でのクラスター発生を受け、市内のデイサービス事業所126カ所に休業要請を出して利用者から感染が広がるのを抑えたことを例に「2週間は耐えどきだ」と強調した。

 三次市でも、水明園の利用者がほかの事業所の介護サービスを利用しているケースもあり、休業するところも出ている。同市の家庭医、佐古篤謙(あつのり)医師は「多くの施設が休業すれば、在宅で暮らす高齢者のケアが行き届かなくなる。感染症を広げないことも重要だが、介護難民を生まないために介護を続ける工夫を考える必要もあるだろう」と話す。(衣川圭) 

 関連記事「三次市でクラスター、23人感染確認」

 関連記事「広島県内で新たに5人感染 福山・三次はクラスターか」

 関連記事「広島県、週末外出自粛要請へ 三次で新たに80代女性感染」

 関連記事「広島県内、新たに5人感染 福山市2人、広島・三次・東広島市各1人」


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

トピックスの最新記事
一覧