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「軽い処分 役人の忖度」 日立に改善命令、制度廃止訴える指宿弁護士(2019年9月7日掲載)

2020/4/25 15:48
「技能実習制度で国が掲げる国際貢献はうそ、虚偽だ」と述べ、制度廃止を訴える指宿弁護士

「技能実習制度で国が掲げる国際貢献はうそ、虚偽だ」と述べ、制度廃止を訴える指宿弁護士

 フィリピン人技能実習生に技能を学べない単純作業をさせたとして、出入国在留管理庁などが日立製作所に出した改善命令の処分について外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表の指宿昭一弁護士(58)に問題点を聞いた。指宿弁護士は「国際貢献」の美名で安価な外国人労働者を受け入れる制度の廃止を主張。技能実習計画の認定取り消しとなったほかの大手に比べ処分が軽い点について、日立会長がトップを務める経団連と政権の近さへの「役人の忖度(そんたく)だ」と批判した。

 ―日立への改善命令はどんな意味を持ちますか。

 日本を代表する企業の日立が技能実習計画を巡り行政処分されたのは重大な事態。日立でさえ守れないものを中小零細が守れるはずがない。実習制度の崩壊が始まった大事な日だ。

 ―日立の違反の原因をどう考えますか。

 実習制度は技術移転を通じた国際貢献を掲げているがこれは虚偽だ。実際は安い労働力の受け入れ。日立もそういう意識だったのではないか。だから計画順守に重きを置かず普通に働かせて違反が起きた。制度が根本から間違っているのだから廃止すべきだ。

 ―同様の違反で三菱自動車などは1月に最も重い計画認定取り消しとなりました。違いはなぜでしょう。

 これまでで一番軽い。日立は当初、(中西宏明会長が)違反はないと言い張っていてより悪質だ。法務省などの指摘でその後、改善の姿勢を示したようだが、三菱なども時間的猶予があれば同じだったはず。中西会長は経団連会長でもあり政府、自民党の支持基盤。処分内容などを考えると、一般国民から役所に何らかの忖度があったと思われても仕方ない。法務省もしっかり説明していない。

 ―外国人労働者受け入れを巡っては国際的な批判から、国は監督官庁の機能強化を進め、三菱など大手企業に切り込んだとの印象もありましたが。

 はっきり言って腰砕け。大手にも断固とした態度を取るんだと始めたが、日立になって及ばなかった。日立には時間的猶予を与え改善命令にとどめた印象だ。

 日立程度の違反なら改善命令で済む、大丈夫だというメッセージを他の企業に与えるのではないか。

 ―日立や三菱に実習生をあっせんした広島市の監理団体「協同組合フレンドニッポン(FN)」に対してはいまだに調査中ですね。

 なぜ速やかに処分できないのか疑問だ。FNは大手を相手に商売してきたから技能実習適正化法を軽く見ていたのではないか。厳格に監査、指導する必要はないと。ところが、法務省や入管庁がある程度本気を出してきて問題が発覚した。厳格な処分をすべきだ。

 ―フィリピンでは既にFNが閉め出され、連携する現地の送り出し機関も停止処分が命じられています。

 労働者保護に熱心な国だからできる。今回の処分も日本はメンツと実習制度の「国際貢献」をアピールするのが狙いで、実習生の保護が目的ではない。その証拠に日立の実習生が解雇、帰国させられた時も実習生のために交渉に入ったのは民間の労働組合。企業も国も実習生の権利などには関心がないということだ。(堀晋也)

 ≪略歴≫筑波大卒。大学在学時からアルバイト先での労働組合づくりなど労働問題に取り組む。07年弁護士登録。外国人労働者弁護団代表や日本労働弁護団常任幹事などを務める。神奈川県出身。

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