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【コロナと闘う 医療最前線】マスクやガウン不足深刻 中国地方、再利用・ごみ袋加工も

2020/5/4 0:10

ごみ袋やクリアファイルで作った防護具を身に着け、車内にいる患者の診察をシミュレーションする大谷院長(左)=江田島市の「島の病院おおたに」(撮影・藤井康正)

 「マスクは来週から2日に1枚。ガウンも節約を徹底してください」。新型コロナウイルスの検査をしている広島県西部の内科医は、院内の通達にため息をついた。感染の可能性がある発熱や肺炎の患者も多いのに、それで大丈夫なのか…。気持ちが重く沈んでしまう。

 医療用マスクやガウン、ゴム手袋、ゴーグル…。中国地方の多くの医療機関で今、ウイルスから身を守るための防護具が圧倒的に足りていない。この内科医が勤める病院も困っている。

 ▽紙袋に入れ保管

 特に手に入らないのが感染防御効果が高い「N95」マスク。現場には少ししか配備されない。不衛生とは思いつつ、1回使ったら紙袋やプラスチック容器に入れて保管しているという。

 ガウン不足も深刻だ。4月からは使い捨て用を滅菌処理して再利用している。内科医は「消耗品の使い回しは2次感染の危険がある。避けるべきだが節約しないとすぐに底をつく」と厳しい現状を明かす。感染を恐れ、同僚たちは勤務後すぐに院内でシャワーを浴びる。「最大限の対策をしている感染症指定医療機関ですら院内感染が起きた。物資がない中での闘いは丸腰で戦場に行けと言うのと同じ」と訴える。

 広島市内の救急病院もガウンの節約を強いられている。女性看護師は1枚をなるべく長時間着るため、水分を極力取らない。トイレの回数を減らすためだ。野球観戦用の赤い雨がっぱを代用する同僚もいる。

 「それでもうちはまだましな方」と言う。防護具は感染者が入院する病院に優先的に送られる。それ以外の病院ではマスク交換が週1回に制限されたり、職員が薬局に並んでマスクを調達したり―。友人の職場はゴム手袋が品薄で、100円ショップのビニール手袋を買うよう言われた。「日々危険と隣り合わせなのに国の対応は遅い。医療者の命は誰が保証してくれるんでしょう」と嘆く。

 ▽院内感染を危惧

 そんな中、市販品を加工して防護具に活用しているのが江田島市の「島の病院おおたに」(96床)だ。検査や感染者の受け入れはしていないが、市内で感染者が確認され、危機感をより強める。万一、院内感染が起これば地域の医療を支えられなくなる。

 防護具の供給は3月から滞っている上、ガウンは1枚500円と高額。1日数百枚を消費することもあり、民間病院の経営を圧迫しかねない。それに、もっと感染が拡大したらどうなるのか―。

 物資温存のため、職員たちはごみ袋をガウンに、クリアファイルをフェースシールドに作り替えている。他病院がネット上に投稿した動画などを参考に試作を繰り返す。これまでガウン40枚、シールド60枚を作り、診察での飛沫(ひまつ)感染予防に役立てている。

 入院患者の多くが高齢者。感染すれば重症化するリスクが高い。外来の発熱患者は自家用車で病院の駐車場まで来てもらい、車の所まで医師と看護師が出て行って診察する工夫もする。大谷まり院長(49)は「地域の医療を維持するために、病院を感染から守り何とか持ちこたえたい」と力を込めるが、闘いの終わりはまだ見えない。(ラン暁雨) 

    ◇

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、中国地方の医療機関も治療や院内感染を防ぐための対策に追われている。最前線の現場で何が起きているのか、医療従事者たちの声を聞いた。

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