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住居や生活費、留学生ら不安 航空便欠航で帰国困難、薄い日本の行政支援

2020/5/9 23:00
母国の地図を見詰め、帰国を待ちわびるエジプト人留学生

母国の地図を見詰め、帰国を待ちわびるエジプト人留学生

 新型コロナウイルスの感染拡大のため母国への航空便が欠航し、帰ることができない外国人留学生たちが苦境に陥っている。帰国のめどが立たないまま日本での滞在は長期化し、住まいの確保や生活費の工面など悩みは深い。日本の行政の支援は薄く、異国での不安な日々が続いている。

 「6月にカイロで挙げる結婚式までには何とか帰りたい」。今春、広島市内の大学院を修了したエジプト人留学生の女性(33)は日増しに不安を募らせる。卒業式に出席して3月下旬に帰国する予定だったが、3月19日以降のエジプト行きの航空便は運航停止になった。いつ帰国できるのか、今も分からない。

 女性を悩ませたのが住居の確保だ。学生時代、留学生が入居できる市留学生会館(南区)で暮らしていた。入居期間の延長を求めたが「利用者は現役学生」と規定する市の条例を理由に断られた。現在、市内の知人宅に身を寄せている。

 ▽退去後に方針転換

 市は4月下旬、希望者の入居を認める方針に転換した。しかし女性は、知人の理解を得て会館に戻らないと決めた。「もしかしたらすぐに帰国できるかもしれない。入居をお願いした時に認めてほしかった」と残念がる。

 世界で、日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置を取るのは今月9日現在、エジプトなど184カ国・地域。外務省によると、国外にいる日本人の帰国希望者は約30カ国に約250人(8日現在)。一方、日本国内にいる外国人の帰国希望者数は把握できていない。

 「生活費が足りるか心配」。呉市の呉高専で環境都市工学を学んだモンゴル人のマラル・ボルドバートルさん(21)も、3月の卒業式後に乗る予定だった帰国便が欠航になった。今、貯金を崩して毎日の食費をやりくりしている。「母国で就職活動して就職先を決める予定だったが、今後どうなるのか」

 緊急経済対策として日本政府が1人当たり10万円を配る「特別定額給付金」は、在留期間が3カ月を超えるなどして住民基本台帳に記載されている外国人も受け取ることができる。それ以外に財政支援はなく、生活費の不安は尽きない。

 ▽仕事減る実習生

 一方、技能実習生に対して日本政府は、短期滞在(90日)もしくは就労できる特定活動(3カ月)の在留資格の変更を認めた。コロナ禍で帰国できなくなった実習生のためだ。

 「会社によっては仕事が減り、働きたくても働けずに困っている実習生の友人は多い」とベトナム人男性(27)は明かす。この男性は呉市内の会社で約3年間、実習生として働き、4月2日に帰国する予定だった。「スーパーへ買い出しに行く以外、会社の寮で過ごしている」と沈んだ表情で語った。(山成耕太、浜村満大) 

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