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育ちすぎたヤシの木伐採決断、周南市 かつてのあこがれ、宮崎県では観光資源

2020/5/10
伐採される予定の周南市のヤシ並木

伐採される予定の周南市のヤシ並木

 戦後のモータリゼーションに伴い原産地の米カリフォルニア州の景観にあこがれて全国の地方都市に植えられた街路樹のワシントンヤシが転機を迎えている。高く育ちすぎて倒れる危険があり、山口県内の約6割が集中する周南市で伐採が決まった。高知県や大分県でも切り倒された。一方、宮崎県では南国ムードを演出する重要な観光資源として順次植え替えて守る方針だ。

 周南市は本年度、山口県と市内を走る県道の中央分離帯にそびえる133本の伐採を本格化させる。1960年ごろの拡幅工事に伴って植えられた。

 県が83本、市が50本を管理している。県は本年度から年10本程度、市は3年間ですべて切り倒す予定だ。

 ヤシは当初、高さ3、4メートルだったが、現在は20メートルを超えるまでに育った木も。強風ではがれた皮が車を傷つける被害も出ている。寿命は約100年ともいわれ、高さ30メートルにまで育つ可能性もある。

 高くそびえるヤシの対策を市に求めてきた市議は「台風が来るたびに不安だった」と指摘。一方、飲食業男性(30)は「海外のリゾート地のような景観がいい。なくなるのはもったいない」とこぼす。市公園花とみどり課の河村直課長は「安全のため伐採はやむを得ない。新たな街路樹のあり方を県と協議したい」と話している。

 高度成長期に植えられ、高木に育ったヤシは各地の自治体が管理に苦慮している。高所作業車で枝打ちするため維持費もかさむ。

 別府温泉がある大分県別府市でも1990年代末、国が約750本を伐採した。高知県は約10年前、高知市の高知港にあった11本を撤去した。大阪市の大阪市立大では50年代後半に約30本が植えられキャンパスのシンボルマークだったが3年前にすべて切った。

 一方、全国の約3割に当たる2850本がある宮崎県では一時は伐採も検討されたが、存続を求める声が強く植え替えが決まった。

 新婚旅行ブームで多くのカップルが宮崎を訪れた60年代半ば、地元の実業家が南国ムードを醸し出そうと植え始めたのがはじまりだという。国土交通省は宮崎市の空港から中心部を結ぶ国道に約840本あるヤシを4〜5メートルの若いヤシに植え替える。完了までに約60年かかる見通しだ。宮崎市観光協会の益田清司事務局長は「南国情緒を体感してもらうのになくてはならない。今後も地域で大切に守りたい」と話している。(川上裕)

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