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島根発高速バス苦境 運行再開でも座席数制限、全体収益マイナス

2020/6/3
高速バスが全便運休し、本社前にずらりと並ぶ一畑バスの車両(1日)

高速バスが全便運休し、本社前にずらりと並ぶ一畑バスの車両(1日)

 新型コロナウイルス感染症の影響で運休や減便を強いられた島根県内の高速バス事業者が苦境に立たされている。国の緊急事態宣言の解除を受けて1日以降、徐々に運行を再開しているが、座席数を制限するなど厳しい状況が続く。高速バスの収益で地域の生活交通を支えている面もあり、国や県に支援を求める声が業界で強まっている。

 県内で感染者が判明した松江、出雲市と広島、岡山、大阪、東京の各都市を結ぶ5路線を運行する一畑バス(松江市)。各地で感染が広がった春先から利用者が激減し、4月8日から順次、減便や運休を実施。5月1日以降は全便を休止した。

 収入も前年比で3月が5割、4月が9割近く減り、5月はゼロに。今月9日以降、順次運行を再開するが、当面は各路線とも半分程度の便数にとどめる。2人がけのシートの利用を窓側だけにするなど、乗車人員も絞る。

 地域の路線バスには国や自治体の欠損補助があるが、利益率の高い高速バス事業に公的支援はない。谷口学常務は「高速バスの利益で会社全体を支えていたが、貸し切りバスの需要も完全に止まり、大幅なマイナスは避けられない」と窮状を明かす。

 石見交通(益田市)は1日から順次、広島、大阪方面を結ぶ高速バス5路線で、自社分の運行を全て再開する。減便、運休が続いた4、5月の収入はそれぞれ前年の2割、1割に落ち込んだ。

 渡辺健一安全輸送部長は「再開しても乗客が全て戻ってくるとは限らない」。テレワークの普及で出張が減るなど利用減を懸念する。高速バスの収益は、各地で運行する路線バスの車両の更新などにも充てているといい、「このままでは生活路線の維持にも影響しかねない」と強調する。

 両社が加盟する県旅客自動車協会は5月27日、県に高速バスや貸し切りバスの減収の穴埋めなどを求める要望書を提出した。県交通対策課は「国の臨時交付金は事業者の減収補填(ほてん)のためには使えないことになっている」と説明。「観光バスの利用促進など、どんな支援ができるか知恵を絞りたい」としている。(松本大典、根石大輔)

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