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非正規女性「明日見えぬ」 中国地方の解雇・雇い止め千人超す

2020/6/11
パート先の解雇予告通知書を手にする広島市安芸区の女性。「不安に押しつぶされそう」と嘆く(画像の一部を修整しています)

パート先の解雇予告通知書を手にする広島市安芸区の女性。「不安に押しつぶされそう」と嘆く(画像の一部を修整しています)

 新型コロナウイルスの影響で経済が低迷し、特にあおりを受けているのが非正規雇用の女性たちだ。厚生労働省によると、コロナを起因とする中国地方の解雇・雇い止めは先月末に千人を超え、さらに増え続ける。女性が多く勤める飲食、小売業で影響が大きく、生活苦にあえぐ声は切実だ。

 【ダイジェスト】新型コロナウイルス感染拡大 危機の中の中国地方


 「もう今のマンションには住めない。とてもじゃないけど家賃を払えない」。広島市安芸区のシングルマザーの女性(53)は、解雇予告通知書を手にうつむく。パート先の飲食店は5月上旬に閉店し、全ての従業員に解雇が告げられた。

 ▽不安で眠れず

 パートの月収は約10万円。事故の後遺症があって支給される月6万円の障害年金と合わせて、何とか生活を切り盛りしてきた。でも、月6万5千円の家賃の捻出はもうできない。

 同居する30代の長男は体が悪く、引きこもりがちで働けずにいる。「息子を支えたいけど無理になっちゃって…」と女性。ついに息子は生活保護に頼ることを決断。女性は知人宅に住み込み、新たな勤め先を探すつもりだ。「仕事と家を見つけて生活を立て直したいですが、明日が見えない。本当、コロナが憎いです」。不安のあまり寝付けず、睡眠薬が手放せない。

 厚労省によると、コロナを起因とする中国5県の解雇・雇い止めは5日時点で1212人(見込みを含む)。1週間で122人増えた。飲食業や小売業が目立ち、これらの業界で働く人の4割を非正規雇用の女性が占める。広島県男女共同参画財団(中区)の窓口でも、急に解雇された女性からの相談が増えた。失業を機に夫の暴力を受けたケースも。相談員女性(69)は「弱いところにしわ寄せがきている」と案じる。

 福山市の女性(27)も、突然失職した1人だ。販売員として働いていた大阪市内のアパレル店は4月から休業。経営が傾き、5月上旬に解雇された。家賃を払えず、携帯電話も止められて、仕方なく今月初めに福山の実家に戻った。

 「でも、このままじゃ親子共倒れです」と女性は焦る。実家は母子家庭。飲食店でパート勤務する母親の給料も激減した。一日2食にして、スーパーで安売りの食品を探す日々だ。新しい仕事を探したいが、友人からはアルバイトでも求人が減っていると聞いた。「転職は厳しそう。八方ふさがりです」と肩を落とす。

 ▽「使い捨て」か

 「派遣切り」の波も押し寄せている。廿日市市の派遣社員女性(29)は、事務職として勤めるメーカーから6月末での契約打ち切りを通告された。その数は女性を含めて100人単位に上るという。「あまりにも、あっさりと切られて、あぜんとしています」

 女性は夏に結婚を控え、「共働き前提の生活設計だったのに…」とため息をつく。月の手取りは14万円ほど。婚約者の給料も同じくらいでボーナスはない。互いに月2、3万円の奨学金返済を抱え、家賃も折半するはずだった。「これからの生活が描けない」と嘆く。

 でも同時に、怒りもこみ上げる。自分たち派遣社員はコロナ対策の在宅勤務も認められなかった。「感染しないかおびえながら出社して次は雇い止め。私たちは結局『使い捨て』なんでしょうか」(林淳一郎、ラン暁雨) 

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