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無観客でも売り上げ快走 コロナ禍の公営ギャンブル

2020/6/19 21:00
観客の入場が再開されたボートレース徳山(12日)

観客の入場が再開されたボートレース徳山(12日)

 新型コロナウイルスの影響で無観客開催となった公営ギャンブルだが、インターネット投票の浸透で売り上げが逆に伸びている。周南市のボートレース徳山は3〜5月の売り上げが前年同期を2割上回った。全国の地方競馬も堅調に推移する。一方、店舗に足を運ばなければならない「アナログ」のパチンコは売り上げ減少に加え、一時は休業要請で店を閉じるなど青息吐息。明暗が分かれている。

 2月末から5月末まで観客受け入れを中止したボートレース徳山。レース自体は行われ、インターネットと電話で舟券を発売した。この間、主催レースの売り上げは3月が前年同月比10・9%減、4月が同24・9%減と落ち込んだが、5月は大レースがあったおかげで約2・3倍と息を吹き返した。3〜5月の合計も前年同期より22・4%増加。ネット会員が急増した。

 ▽地方競馬も好調

 観客の受け入れは6月から再開。入り口にテントを張り、入場者の検温と手指の消毒を徹底している。施設の担当者は「まだ来場者は少ない。密にならないよう積極的な宣伝も控えている」と話す。

 2019年度の主催レースの売上高は641億8600万円と過去最高を更新し、6年連続の増収。市の一般会計にも7億円を繰り入れ、子育て施策に活用されている。さらに中央スタンド建設などの借金である企業債約22億円を10年以上早めて20年度末までに完済する予定。山本貴隆管理者は「無借金経営になってイメージアップにつなげたい」と強調する。

 同じく無観客の地方競馬も気を吐く。全国15場で3〜5月の売り上げは前年同期を上回った。3月は前年同月に比べ4%増と小幅な伸びだったが、4、5月はいずれも2割余り増えた。中央競馬でさえ3〜5月に各4〜13%下がっただけに好調さが際立つ。

 地方競馬全国協会の生駒健一郎広報課長は「古くからネット投票に力を入れた成果が出た。普段は中央競馬が開催する土日だけ馬券を買うファンが、ステイホームで平日の地方競馬に流れてきた影響もあるのでは」と分析する。

 ▽「焼け石に水」

 ただ、公営ギャンブルのネット投票はシステム事業者に手数料を抜かれるため、レース場で直接売るよりも利益率は落ちる。生駒課長は「各競馬場の努力で入場者数が下げ止まってきただけにそこは痛い」と話す。

 活況の公営ギャンブルとは対照的に地域のパチンコ店は厳しい状況だ。周南市内の店長は「県の要請で休業した期間の売り上げは取り戻せない」と嘆く。市内では5月の売り上げが半減の店も。山口県からは休業要請に応じた業者に最大30万円の協力金が出るが、規模が大きく、人件費や電気代など多額のランニングコストがかかるパチンコ店は「焼け石に水」と受け止める。

 ここ数年の業界は依存症対策で射幸性の高い機種が規制されファン離れが進む。そうした中、1円パチンコなど低貸玉を好む年配のファンは根強い固定客だったが、感染拡大が進むにつれ店舗から足が遠のく人が増加。「特に高齢層に知名度の高いタレントの志村けんさんが亡くなってからは急減した」と店長は語る。営業再開後の客足の戻りも芳しくないという。

 ▽依存症増える懸念も

 新型コロナウイルスが猛威を振るった時期には休業要請に応じない一部のパチンコ店に客が押し寄せる光景がニュースで流され世間の関心を集めた。こうした現象について公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(東京)の田中紀子代表は「ふだん見えにくい依存症の問題を多くの人に意識させた」と指摘する。

 かつて自身もボートレースなどにのめり込んだ田中代表は「手軽なインターネット投票で公営ギャンブルにのめり込む人が増えないかが心配だ。依存症の人がネット会員に登録できない仕組みなどを考える必要がある」と話している。 

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