三原市長説明、矛盾と迷走 現金授受や地検聴取内容
参院議員の河井案里容疑者(46)が初当選した昨年7月の参院選広島選挙区を巡る買収事件を受けて24日、関係者に辞意を伝えた三原市の天満祥典市長(73)。3月下旬以降、現金授受の有無、広島地検による聴取内容を巡る発言は迷走を繰り返した。矛盾も目立ち、政治家として説明責任が揺らぐ状況に陥っていた。
最大の焦点である案里容疑者の陣営からの現金授受の有無。3月28日朝、天満市長は中国新聞の取材に対し地検の聴取を受けたことを認め、金銭授受も「そこの微妙なところを聞かれている」と否定しなかった。
同日夜は「もらったのは後援会か」との問いにうなずき、領収書は「切っていないと思う」と金銭の介在をほのめかした。
ところが、同31日の記者会見では、金銭の授受を否定。「後援会ももらっていないと思う」と発言を一転させた。
地検の聴取内容を巡る説明も、ほころびが目立った。同28日朝の取材では金銭授受についても聴取されていると認めていたが、同31日には「(地検には)聞かれていない」と説明。聞かれたのは「河井夫妻との付き合いについてだ」との答えを繰り出した。さらに、今月23日の会見では「聴取は3月27日の1回だけ」とし、いったん認めた3月28日の聴取自体も否定した。
東京地検特捜部検事などを務めた郷原信郎弁護士は「自身への処分が出るまではひとまず様子を見ようと、検察とマスコミへの説明を切り分けている可能性がある」と推察。今回の事件の聴取で「地検がお金のやりとりについて聞かない、という説明は明らかにうそだ」と指摘する。
天満市長は、河井夫妻の逮捕後の今月23日も、記者会見で「家族や後援会も含め、授受はない」と断言。「参院選では(落選した)溝手顕正候補の方に力を入れた」と強調した。
同日には、市議会定例会の閉会あいさつでも「現金の授受はない」と言及していた。翌日の急転直下の辞職の動きに、あるベテラン市議は「議会という公式な場で否定した以上、今後も現金授受があったとは言い出しにくいはず」とみる。天満市長が25日に予定する記者会見についても「辞職の理由として『市政を混乱させた』と言うつもりかもしれないが、それでは説明責任を果たしたことにならない」と突き放した。
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