実情映す提言、政府動かす 知事会新型コロナ緊急対策本部長代行の鳥取知事に聞く
新型コロナウイルスへの対応を巡り、全国知事会が存在感を高めた。迷走が目立った政府に対し、地方の実情に即した提言を重ね、国の財源を活用した事業者救済策など、政策転換につなげた。全国知事会の新型コロナ緊急対策本部長代行として、提言の取りまとめや政府との折衝を担った鳥取県の平井伸治知事に、成果や課題について聞いた。
▽第2波に備え 現場の目で検証
―知事会が果たした役割を振り返ってください。
新型コロナ対策の最前線に立つ47都道府県が、利害得失を超えて結束した。自由度の高い交付金の創設や飛躍的増額、医療機関支援など次々と要求を重ね、政府も方針転換。地方の声がスピーディーに実現した。
新型コロナ担当の西村康稔経済再生担当相との協議は、ウェブ会議を中心に13回に及んだ。今や同じ戦列に立つパートナー。これほど国と地方が協議を重ねて政策を実行したことは、かつてなかった。新しい国と地方の関係が生まれつつある。
―当初は渋っていた政府が、知事会の提言に応じるようになった転換点は。
3月13日に成立した改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(新型コロナ特措法)で、知事が総合調整権を持った。4月7日、7都府県に対する緊急事態宣言が出され、地域住民を守る役割を担う知事の権限が社会的に注目された。世論のうねりを背景にして、発言権を得るに至った。
―全国知事会は「第2波」に備え、感染拡大の経緯や対策の検証チームを設け、鳥取県が事務局となった。本来は国がやるべき検証作業を、あえて鳥取が中心となり担う意味は。
国は政治的に検証しないという判断をするかもしれないが、現場は待ったなし。次の闘いにいやおうなく引き込まれる。政策の効率性や妥当性を見直さなければならない。
大都市でPCR検査の停滞や保健所のパンク、医療崩壊が社会問題化し、国は全国一律の対応を求めたが、地方の状況は違った。地域ごとに戦略を構築する必要がある。
新型コロナは、感染者の8割は他の人に感染させないが「3密」などの条件で爆発的に広がる。劇場などの施設を一律に閉め、東京都が協力金のため1兆円を取り崩すような対策が妥当だったのか。初動の検査でどう抑え込むか。次の闘いに備えたい。
―今回築いた国と地方との関係を、今後にどう生かしていきますか。
政府も、感染拡大を招いた東京一極集中から分散型の国土づくりへの転換の必要性を共有している。リモートワークや遠隔教育、遠隔診療が広がり、地方への移住希望者が増えている。国とのパイプを生かしつつ、地方としても運動を展開していく必要がある。(小畑浩、写真・高橋清子)
<クリック>全国知事会の新型コロナウイルス対応 1月30日に緊急対策会議を設置し、2月25日に全都道府県参加の緊急対策本部に移行。政府への政策提言を繰り返し、事業者への給付や家賃支援▽休業補償や医療態勢整備に使える交付金の新設・増額▽緊急事態宣言の延長の全国適用―などを相次ぎ実現した。6月12日には感染拡大の経緯や対策の検証チームを設置し、独自に「第2波」に備えた戦略づくりに着手した。
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