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テレワーク推進へ組織 松江市や島根大など13団体、IT産業の底上げ目指す

2020/6/29
昨年9月、松江市内の古民家でテレワークをする首都圏のIT企業の社員(ワークアット提供)

昨年9月、松江市内の古民家でテレワークをする首都圏のIT企業の社員(ワークアット提供)

 松江市は、首都圏のIT企業などに向け、市内に滞在して自然に囲まれて健康的に働く「テレワーク」のプログラムを開発する産学官のコンソーシアム(共同事業体)を設立した。実証実験でストレス軽減の効果があった点を踏まえ、健康をキーワードにIT人材の流入を呼び込む。市発祥のプログラミング言語「Ruby(ルビー)」の活用で集積したIT産業の底上げや、松江発の新しいビジネスの創出を目指す。

 市や、テレワーク事業を手掛けるテレキューブ(東京)、島根大など13団体で構成する。年間30〜70社を目標に、3泊4日のプログラムを試行。中海に浮かぶ大根島や玉造温泉で仕事をしてもらい、ヨガや呼吸法の研修も織り交ぜる。地元のIT企業に勤める人との交流も企画する。

 テレワーク導入への準備や、福利厚生での利用も想定する。ストレス軽減の効果を持続させるための研究や、通信環境、セキュリティー面の調査も進める。事業期間は2022年度までの3年間で、商品化を目指す。市が国の地方創生推進交付金などを財源に初年度は550万円をコンソーシアムに補助する。

 市は05年の国勢調査で人口減少に転じたのを機に、Rubyを活用したIT人材の育成と企業誘致を進め、これまでに40社以上を受け入れた。都内のIT企業で働いていた地域おこし協力隊員の提案で、昨年に実証実験した。

 プログラムの開発や、現地でのコーディネートは、隊員がことし3月に設立した「ワークアット」が請け負う。東京から移住した田窪大樹副社長は「時間の使い方一つをとっても人生の選択肢が広がる。アフターコロナでは、自分の働きたい場所で働ける会社が選ばれる時代になってくる」と話す。

 ▽ストレスへの対処も大切 松江市内でのテレワークを推進する新事業を担うワークアット社長・林郁枝さん(55)=松江市

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けてテレワークが注目されている。松江市内でのテレワークを推進する新事業を担うワークアット社長の林郁枝さん(55)=同市=に、課題と展望を聞いた。

 ―新型コロナウイルスの感染拡大で、首都圏の企業を中心にテレワークの導入が進みました。

 どこにいても仕事はできることが証明された。首都圏の通勤ラッシュに疲れを感じていた若い世代や、コロナ禍でテレワークを経験したキャリア世代から地方で働きたいという声を聞いた。その際、今後は退職ではなく、多様な働き方の一つとして居場所を選べる時代が来る。島根県内の就活生にとっては、例えば地元にいながら、東京の会社に勤められるようになるだろう。

 ―松江市の地域おこし協力隊員として3年目ですね。ことし3月、市などと産学官連携で、市内でのテレワークを進めるプログラムを開発、提供する新会社を設立しました。

 首都圏のIT企業などに向け、玉造温泉などでテレワークできる3泊4日のプランを企画した。全国で機運が高まったとはいえ、一歩を踏み出せなかった企業は多くある。在宅勤務を実施した企業でも、コミュニケーションや通信環境、評価制度など課題が見つかったとの相談を受けた。本格導入に向けた準備としてのニーズもあると思う。

 ―テレワークでは、社員の健康管理の課題も出てきています。

 休憩を忘れて働きすぎてしまう人や、椅子に座りっぱなしで腰痛がひどくなる人、会話のなさにストレスを感じる人もおり、企業の健康管理への意識は高まった。ちょうどプログラムでは、ストレス値を計測分析するほか、ヨガなど自己管理の方法も伝える予定だ。

 というのも私自身、東京の外資系IT大手で働いていた時、自分でも気付かなかったストレスから体中に帯状疱疹(ほうしん)が出たのを機に、心と体の健康が楽しく生きる上で大切なことと実感。二拠点生活をへて自然豊かな松江での暮らしを選び、そうした働き方の魅力を伝えたくて事業を提案した経緯がある。

 ―テレワーク推進の流れは続くでしょうか。

 そもそも東京五輪・パラリンピックの混雑対策として国が推奨していた。地方でも、近年多い災害への備えなどとして必要となってくるだろう。(三宅瞳) 


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  • オンラインで「どこにいても働けるテレワークの導入を機に、地方に目を向ける人が増える」と力を込める林さん

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