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【西日本豪雨被災地の2年】<3>新たな一歩 地元の絆、結い直す

2020/6/29

災害公営住宅の集会室で町内会の発足に向けて話し合う入居者たち(22日、広島県坂町小屋浦地区)

 ▽町内会を発足 店や家再建も

 この春完成したばかりの広島県坂町小屋浦地区の災害公営住宅。22日、真新しい集会室に入居者が集まった。西日本豪雨で被災し、この住宅に入った27世帯で新たな町内会をつくるための会合だった。「小屋浦に戻ってこられてよかった」「精神的には、まだつらい」。暮らしが一変して2年。入居者の自己紹介には、これまでの月日への思いがあふれた。

 ▽面識ない人も

 豪雨は被災地のコミュニティーを切り裂いた。坂町では19人(災害関連死を含む)が犠牲になり、家屋の全半壊は計1173棟に上った。被害が大きかった小屋浦地区の人口は当時、約1800人。古くからの住民も多い。被災者は仮設住宅や民間アパートといったみなし仮設住宅などへ移り、散り散りになった。

 町は、恒久的な住まいとして災害公営住宅を町内5カ所に整備した。西日本豪雨の各被災地で最初に完成し、計74世帯が入った。

 同じ町内とはいえ、面識がない人同士も入居する。「もう一度、隣近所の関係をつくるのは大変ですよ」。町内会長に選ばれた高下博美さん(63)はつぶやいた。

 高下さんは元町職員。土石流の直撃を受けて自宅は全壊し、町有住宅で暮らしてきた。自宅跡の整理や長引いた仮住まいのストレスからか体調は優れない。それでも町内会長を引き受けた。町内会づくりを支援した町地域支え合いセンターの木下健一センター長(40)の思いをくんだからだ。

 「新たな住まいを確保した被災者は目標を見失い、環境の変化もあって心身のバランスを崩しがち。みんなで見守り合う町内会の存在意義は大きい」と木下センター長は指摘する。

 「せっかく縁があって一緒に入居した。皆さんや小屋浦が元気になるよう頑張りたい」と高下さん。コミュニティーを結い直し、それぞれの生活再建を支えたいと願う。

 ▽立ち寄れる場

 住み慣れた地で再出発する人もいる。大規模な浸水被害を受けた呉市安浦町で電器店を営む山広修平さん(66)、善恵さん(59)夫妻。2階建ての店舗兼住宅は、約2・5メートルの高さまで泥水に漬かった。昨年2月まで営業したが傷みが激しく、建て直すことを決めた。

 建築費用は心もとない。しかし、町を離れようとは思わなかった。「地域の人に励まされて30年以上、ここでやってきたから」と2人は口をそろえる。

 被災後、店舗兼住宅の一部をボランティアの資材や救援物資を置く場所として提供した。修平さんは、浸水で故障したコンセントや電気機器の修理に駆けずり回った。「助けてって言われたら放っておけない人だから」。善恵さんは傍らの修平さんを見やった。

 新たな店舗と家は7月末に完成する予定だ。「気軽に立ち寄れ、思いを吐き出せるような店にしたい」と2人。少しずつ復旧へと歩む町を見詰めていく。(石井雄一、池本泰尚)

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