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福山のため池、管理者不明多く 届け出も半数止まり

2020/7/5
福山市郊外に点在する、ため池(同市駅家町)

福山市郊外に点在する、ため池(同市駅家町)

 2018年7月の西日本豪雨を機に義務付けられた農業用ため池の届け出が、福山市内では約1150カ所にとどまり、全体のほぼ半数の約1050カ所が未届けであることが4日、分かった。未届けのうち約330カ所は、災害時に決壊した場合に人的被害が出る恐れのある「防災重点ため池」。大半は所有者などが不明で、日常的な管理が行き届いていないとみられる。

 市は、届け出をした池の所有者などに草刈りや点検など日常的な管理を呼び掛け、豪雨の際には水位を下げるよう求めている。一方、未届けの池は、現地に出向くなどして調べているが、農家の高齢化や代替わりが進み、所有者や管理者をほとんど特定できていないという。

 市によると、市内には約2200カ所のため池があり、県内で3番目に多い。西日本豪雨では駅家、赤坂、神辺、草戸の計7カ所が決壊。うち、駅家町向永谷では2カ所のため池が決壊するなどし、土石流にのまれた下流の女児=当時(3)=が犠牲になった。7カ所の中には長年放置されてきたものもあった。

 ため池の決壊が相次いだのを受けて、19年7月に農業用ため池管理・保全法が施行。所有者や管理者に対し、都道府県への所在地や規模の届け出が義務付けられた。広島県は過去の台帳などを基に19年8月以降、所有者たちに郵送などで届け出を要請している。

 福山市内のほぼ半数のため池が未届け出であることについて、市農林整備課は、優先的に補修などの対策を進める「防災重点ため池」が多く含まれることを危惧する。「引き続き届け出の徹底を呼び掛け、使用実態がないものは廃止も検討したい」としている。

 県によると、備後地方のため池(5月末時点)は、尾道市771カ所(うち届け出済み454)▽三原市2518カ所(同1589)▽府中市277カ所(同223)▽世羅町1533カ所(同1121)▽神石高原町373カ所(同311)―となっている。(門戸隆彦)

 <クリック>農業用ため池管理・保全法 農業用ため池を適正に管理、保全して農業用水を確保しつつ、決壊による被害の防止を図るため、2019年7月に施行された。広島県によると、届け出対象のため池は5月末現在、県内に1万8034カ所あり、兵庫県に次いで全国2番目に多い。うち届け出済みは63・1%の1万1379カ所。全国では対象の10万9160カ所のうち、76・3%の8万3319カ所が届け出済みになっている。

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