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【西日本豪雨2年】妻よ子よ、前向くよ 広島県熊野、夫が2年ぶり現場「整理」報告

2020/7/5 23:04

妻の自宅跡で、家族の写真を並べて手を合わせる角森さん=5日、広島県熊野町(撮影・大川万優)

 2018年7月の西日本豪雨で12人が犠牲になった広島県熊野町の団地「大原ハイツ」。安来市の会社員角森康治さん(56)は団地で、当時、婚姻届を出したばかりの妻とその家族を失った。5日、更地になった妻の自宅跡地を訪ねた。災害直後に駆け付けて以来、約2年ぶりだった。「もう踏ん切りをつけようと思う」。そう言って手を合わせた。

 妻奈々さん=当時(44)=と、その子どもの青木美憲君=同(13)=と角森健太ちゃん=同(2)、奈々さんの母青木裕子さん=同(71)=の4人が暮らしていた自宅は土石流にのまれた。角森さんと奈々さんは互いに再婚で、その約1カ月前に婚姻届を出していた。

 幸せから一転、悲しみのどん底に突き落とされた。「奈々のLINE(ライン)や動画を見て泣いてばかりだった」と角森さん。人前では笑顔を見せられるようになっても、一人でいると自然と涙があふれた。「奈々たちがいないことを認めることになる」と、再び団地に赴く気にはなれなかった。

 悲しみと、「前を向こう」という二つの感情の間で、ずっと揺れてきた。今も悲しみは癒えない。それでも決意した。「なるべく忘れよう」。6月、安来市の寺で三回忌の法要を済ませたのを機に遺品を整理した。妻や子どもの写真も焼いた。5日、団地を訪れたのは、その報告だった。

 この日早朝、安来市の自宅を車で出発し、団地へ向かった。妻と別々で暮らしていた災害前、心が躍った道中。前を向こうと決めたはずなのに、早く到着するのをためらった。

 自宅跡の更地に、妻と子どもたちの遺影を並べた。やはり涙があふれた。「奈々、もう熊野には来ないかもしれない。前に進むよ」。この2年間、ため込んできた思いが、ほんの少し軽くなった気がした。(石井雄一)

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