「無事でいて」願い届かず 東広島崖崩れ、地域の担い手失い悲しみ広がる
「無事でいて」という願いは届かなかった。東広島市河内町宇山の崖崩れで亡くなった倉兼千代子さん(84)と長男の茂実さん(55)は、周囲の人に親しまれる仲のいい親子だった。2人の死亡の知らせを受けて山あいの地域には15日、悲しみが広がった。
14日早朝の発生後に始まった救助活動は難航した。市災害対策本部によると、到着した救助隊が茂実さんとみられる男性の声を確認。しかし、発生から約55分後に再び崩落が起き、連絡が取れなくなった。
大きく傾いた家屋を重機で支え、中断を挟みながら続いた捜索。午後2時半には救助隊の「3回たたいて」という呼び掛けに、家の中で何かを3回たたくような音がしたという。生存を信じて救助作業が進んだが、15日未明までに2人の遺体が運び出された。
「うそじゃろ」。知らせを受け、宇山地域センター長の坂田正広さん(74)は肩を落とした。14日、救助隊より先に現場へ駆け付け、土砂に埋もれて「苦しい」と漏らす茂実さんの手を握って励ました。「高齢化が進むこの地で、地域活動の担い手としても期待していた。寂しい」と悔やんだ。
現場には15日、2人を知る人たちが訪れ、花を手向けていた。
茂実さんは宅配会社に勤務し、ドライバーとして地域を駆け回っていた。数年前までブドウ農家を営んでいた近くの天野利子さん(86)は「出荷だけでなく顧客のクレーム対応までしてくれた。本当に親切だった」。手を合わせ、悼んだ。
千代子さんは周囲の人たちにいつも優しい笑顔を見せ、カラオケサークルでは歌声を披露することもあったという。知人の50代女性は「家の前を通ると必ず手を振ってくれた」と振り返っていた。(堅次亮平、高橋寧々、山田祐)
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