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【私の学び】重富酒店社長・ビールスタンド重富店主 重富寛さん おいしさ求め試行錯誤(2015年6月1日掲載)

2020/7/16 12:49
重富酒店社長・ビールスタンド重富店主 重富寛さん

重富酒店社長・ビールスタンド重富店主 重富寛さん

 「生ビールで広島を元気に」をモットーに、広島市中区にある酒店の一角に設けた立ち飲みスタンドで一杯一杯注いでいる。日本酒や焼酎、ワインではなく、生ビールにこだわるのは理由がある。笑顔の輪を広げるのにビールが一番役立つと思うからだ。

 ニッカウヰスキーで5年間修業し、祖父の代から続く酒店を継いだ。当時、ビールは好きな方ではなかった。それを一変させるほどの衝撃を受けたのが、約20年前に広島市内で受けたサントリーの生ビールセミナーだ。きめ細かい泡に、上品な喉越し。ビールはこんなにおいしい飲み物だったのか、と。この喜びを多くの人に伝えたくなった。

 2008年に居酒屋を譲り受け、生ビールの提供を始めた。おいしさの秘訣(ひけつ)とされるグラスやサーバーの丁寧な洗浄、適切な管理を徹底し、注ぎ方にもこだわった。だが、どうしても越えられない壁があった。

 例えば、団体客が生ビールで乾杯する場合、全員分がそろう頃には、最初に注いだ泡は消え、味が落ちてしまう。待ち時間を短縮できるよう注ぎ口を四つに増やしたが、10人弱が限界だった。

 そこで、一杯を最高の状態で提供できる環境をとオープンさせたのが「ビールスタンド重富」だ。注ぎ手の力量が問われる昭和初期のサーバーを再現した特注サーバーで、注ぎ方の違いによる味を楽しんでもらっている。

 営業時間は夕方の2時間限定。定員は約10人で、注文は1人2杯まで。つまみはなし。準備と片付けに5時間もかかるが、それもおいしいビールを飲んでもらうためと思っている。

 日本人の多くは、生ビールで乾杯する。味わって感想を述べ合う日本酒やワインよりお手軽。仕事帰りの一杯は喉を潤し、心を満たす。「明日も頑張ろう」。ビールにはそんな特別な力がある。

 2年前、福沢諭吉の著書「西洋衣食住」でビールに関する記述を見つけた。「其(その)味至(いたっ)て苦けれど、胸膈(きょうかく)を開く為(ため)に妙なり」。なるほど明治期からビールは人の心をほぐしていたようだ。

 祖父は広島に初めて生ビールを持ち込み、多くの人に提供したと聞いている。手動ポンプ式サーバーでビールを注いでいた祖父に追い付け、追い越せ。ビールのつぎ方セミナーを約20年続けている。おいしいビールを広めるとともに、自分の腕も磨き続けたい。(聞き手は山本乃輔)

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