大規模買収、激震なお 辞職ドミノどこまで
昨年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、前法相の河井克行被告(57)=衆院広島3区=から現金を受け取ったと認めた安芸高田市議3人が17日、議員バッジを外した。克行被告、妻の案里被告(46)=参院広島=からの現金受領を中国新聞の取材に明かした広島県内の地方議員29人のうち、議員辞職をしたか表明したのは5人となった。片や、静観を貫く議員もいる。首長に端を発した「辞職ドミノ」はどこまで続くのか。
▽受領の議員側 続く動きなく
県議会はこの日、常任委員会を開き、両被告から現金を受け取ったと認めた11人のうち10人が出席した。首長と地方議員で最多の200万円を提供された元議長の奥原信也県議(呉市)は、進退について「河井夫妻の公判が始まっておらず、受け取った議員の処分も正式に発表されていない。現時点でコメントは差し控える」と述べた。
受け取り側の地方議員では、府中町議会の繁政秀子町議が6月29日、真っ先に辞職。北広島町議会の宮本裕之議長が今月15日、9月に予定される次の定例会で辞職すると表明した。これに安芸高田市議3人が加わったが、続く動きは今のところは表面化していない。
ある県議は、克行被告が50万円を「一方的に置いていったが返した」と説明。「支援者も冷静に受け止めてくれている。辞職は考えていない」と語る。別の県議は主な後援者に事実関係の説明を始めており、1度は受け取りを拒んだ点などを伝えると理解を示されるという。「自分に甘さがあったとは思うが、今は地域のために仕事を続けたい」
県内の首長やほかの議員の辞職について尋ねると、受領議員の返事は「それぞれの判断」で共通する。一方で「政治的、道義的な責任を取るべきだ」という有権者の厳しい批判の声が届いていることも認める。
克行被告から10万円を受け取った廿日市市議会の藤田俊雄市議は「責任は感じている。次の選挙には立候補しない方向で後援会と調整している」と話す。
9人が克行被告からの現金受領を認めた広島市議会。50万円を受け取ったとする市議は進退について「自分の刑事処分の結論を知らされていない。後援会のうち近い人たちには応援の声が多く、白紙の状態」と揺れる胸中を明かした。
▽議会で決議も 調査は消極的
呉市議会は10日、30万円を受け取ったと認めた土井正純市議に対する辞職勧告決議案を可決した。市議会では決議後、目立った動きはない。森本茂樹議長は「多くの課題が山積している。呉市が発展するよう、市議会が一丸で市民の信頼回復に努める」と語る。
江田島市議会でも8月上旬を予定する臨時会で、辞職勧告決議案の提出を探る動きがある。吉野伸康議長は「複数の市議が説明を求めており、本人が了承すれば議会として事実関係を聴く機会を設けたい」と言う。
一方、二つの会派が別々に辞職勧告決議案を出した広島市議会では「事実を正直に話した者から辞職勧告されるのは酷だ」との不満がある。山田春男議長は「事実関係は裁判で明らかにされるべきだし、有権者への説明は市議個人が主体的にする問題だ」として、独自調査にも否定的だ。
県議会の中本隆志議長も受け取り側の実態解明について「検察が聴取を重ねて刑事処分を下さない以上、県議会として今できることはない。逮捕されたり、起訴されたりする県議が出てくれば、対応を考える」との立場を取る。
安芸高田市議会では市議3人に対して、議員政治倫理規程に基づく審査請求や辞職勧告決議案の提出を模索する動きがあったが、辞職で立ち消えた。山本優議長は「3人は記者会見などで経緯を説明し、責任を取って辞職した。議会として事実関係などを調査する必要はない」と説明した。
廿日市市議会の佐々木雄三議長は「市議から追及の声が上がっておらず、静観の構えしかない」と話している。
【激震 前法相夫妻起訴】安芸高田3市議が辞職 現金受領の前正副議長ら【動画】
広島県内を流れる太田川水系などの河川で1日、渓流釣りが解禁になった。同県安芸太田町の河川では、早朝から愛好家が餌を垂らし、アマゴを次々と釣り上げていた。
安芸高田市は1日、全国から公募した2人目の副市長の内定者を、一般社団法人RCF(東京都)職員の四登(しのぼり)夏希氏(34)に決めたと発表した。開会中の市議会定例会に選任同意案を追加提案する方針で、...
広島市は1日、新たに新型コロナウイルスに60代と80代各1人の計2人が感染したと発表した。無症状と中等症という。 【関連記事】医療従事者の優先接種、広島県11万2000人 コロナワクチン、31施設名...
柳井市長選は28日投開票され、無所属現職の井原健太郎氏(46)が、無所属新人の下村太郎氏(38)を破り、4選を果たした。 井原氏は、長年の懸案だった市中心部の遊休地への相次ぐ企業誘致など実績を強調。...
28日投開票された柳井市長選は無所属現職の井原健太郎さん(46)が、無所属新人の下村太郎さん(38)を退け、4選を決めた。新人が変革を訴える中、企業誘致などの成果をまちづくりに生かす「市政継続」を訴...