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住民の大半、浸水前避難 江の川や支流氾濫の川本町
島根県西部の江の川や支流の氾濫で14日午前に浸水した川本町では、町内で最も多い約20世帯が被災した谷地区をはじめ、住民の大半が浸水前に避難を終えていた。多くは「2年前の西日本豪雨から間がなく、早めの避難への意識が高まっていた」と話す。新型コロナウイルス感染症への対策では、分散避難後の連絡の取り合い方に課題が見えた。
谷地区では、14日午前6時50分、78世帯152人に避難勧告が出された。同10時ごろには町中心部や避難先の川本小に通じる県道が漬かり、孤立状態となった。実際に同小に避難したのは最大14世帯22人だけだったが、町は「浸水した世帯の大半は避難していただいた」とみる。高台の住民は家にとどまったという。
床上1メートル近く浸水した同地区の主婦(51)は、西日本豪雨で被災して以降、大雨の時は江の川の国土交通省川本水位観測所の水位をスマートフォンで小まめに確認するように。今回も、7メートルを超えたら避難の準備をしようと決めていた。
午前4時40分に8メートルを超え、避難勧告が出る1時間以上前の午前5時半ごろには車で自宅を出発した。「これまでの避難行動は受け身だったが、水害に遭ってからは主体的に考えるようになった」と話す。
自宅が1メートル以上浸水した瀬上英子さん(75)は、近所の住民に促され、午前7時半ごろに車で同小に向かった。「避難するほどではないだろうと思ったが、避難所までの橋が漬からないうちに動いた」。2年前は自宅2階で一夜を過ごし、1階が冠水して孤立。翌朝ボートで救助された。「早めに逃げて心配をかけずに済んだ」と振り返った。
一方、新型コロナウイルス対策として町は分散避難を計画。指定避難所だけでなく親戚や知人宅、車中も避難先として検討するよう呼び掛けていた。今回、車中での避難を少なくとも6世帯12人確認したという。新型コロナやペット連れが要因とみられる。
地元の谷自治会も午前7時台に、2年前に漬かった世帯を中心に1軒ずつ声を掛けて回った。子どもの家などに移って不在の世帯もあり、居場所の正確な把握が難しかったという。同自治会の桑本修輔会長(72)は「事前に避難先の聞き取りや連絡体制を整えてさらに備えたい」と話していた。(鈴木大介)
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