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宮島大鳥居、9代目か 13世紀前半にも再建の新説

2020/7/20
修繕工事が続く厳島神社の大鳥居。これまで考えられてきた8代目ではなく、9代目の可能性が出てきた(撮影・高橋洋史)

修繕工事が続く厳島神社の大鳥居。これまで考えられてきた8代目ではなく、9代目の可能性が出てきた(撮影・高橋洋史)

 世界遺産の厳島神社(廿日市市)のシンボル大鳥居について、平清盛の援助で建設された1168年ごろを初代として現在は8代目とされてきたが、少なくとも9代目の可能性があることが同神社の原島誠技師(62)の調査で分かった。1223〜40年に再建されたとみている。

 大鳥居の建造は、従来考えられてきた3代目(1371年)以降の建立時期は文献で確認できているものの1、2代目は未確定の要素があった。原島技師が現在の大鳥居の修繕工事を機に、神社に伝わる文献を調査したところ、従来信じられていた1286年建立の2代目以前に、1基が造られたとみられることが分かった。

 1240年に書かれた工事報告書の「伊都岐嶋社内外宮造畢(いつきしましゃないげぐうぞうひつ)〓(ならびに)未造殿舎注進状案(みぞうでんしゃちゅうしんじょうあん)」の中に、「造畢分」(すでに造り終えた物)として「大鳥居一基」の記述が発見された。

 また厳島神社は1207年と23年に大規模な火災に遭っている。このときに、内宮(海上社殿)だけではなく、焼失しなかった外宮(地御前神社)も40年までに再建された。内宮と外宮は一体と考えられていたためとされる。この期間内に、神社のシンボルである大鳥居も再建された可能性が高いという。

 現在が8代目とする説が広まったのは、約70年前に大鳥居が大規模修繕された後、同神社の修理委員会が編さんした「昭和修理総合報告書」だ。この中で、大鳥居の歴史について地方史研究家の調査を転載する形で現鳥居を「8代目」と記載された。以降、その説が宮島町史にも記されるなど広まってきた。

 原島技師はかつて存在した有浦大鳥居と、現在の海上社殿近くの大鳥居を同一のものとする見方があり、2代目の建設時期が混同された可能性があるとみる。

 原島技師は「厳島神社についてこれまで詳細な研究や検証がなされないまま、さまざまな言説が広まってきた。過去の文献などを通じて今後も神社の歴史を整理したい」と話している。(東海右佐衛門直柄)

▽信ぴょう性あり、さらに研究必要

 県立広島大の秋山伸隆名誉教授の話 鎌倉時代の前半での再建説についてこれまで明確に指摘されたことはなく、意義深い。従来考えられてきた1代目と2代目の間は長く、その期間にこれまで知られていなかった再建があったというのは信ぴょう性がある。現在使われている観光関連の資料なども、今後変える必要が出てくるかもしれない。同時に大鳥居の歴史についてはまだ知られていないことも多く、さらなる研究が必要だ。

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