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東広島市、大雨でレベル3発表せず「暗闇の避難 危険と判断」 市民や専門家「出すべき」
東広島市内に大雨被害が出た14日未明、市は、多くの地域で「避難準備・高齢者等避難開始」(警戒レベル3)の発表基準に達したものの出すのを見送っていた。市は「夜間だったため、ちゅうちょした」としている。市民や専門家からは「危険を知らせる意味でも出すべきだった」といった意見が出ており、市は改善を図る。
市内では14日朝までの雨で各地で土砂災害や道路損壊が発生。河内町宇山では崖崩れで2人が死亡した。
市のマニュアルでは、気象庁の大雨警報が出るとともに、土壌雨量指数などを基にしたメッシュ情報で土砂災害の危険度が「警戒」に達した地域には、高齢者たちに避難を促す「避難準備・高齢者等避難開始」を発表する。宇山を含め2年前の西日本豪雨で被災した地域では、危険度が1段階低い「注意」で出す暫定運用をしていた。
今回は14日午前0時11分に、暫定運用エリアの多くがレベル3に達したが、発表を見送った。危機管理課は「暗闇で外出する避難は危険を伴う。避難勧告(レベル4)の基準になれば、勧告を出す考えだった」と説明する。夜明けまでには大半の地区でレベル3に到達したが、どこも出さなかった。一方、避難勧告は一部地域で出したものの、宇山では基準に達したのを見逃し、発表が遅れた。結局、宇山を含む複数地区で朝まで何も避難情報が出ない形になり、各地区で避難所は開かれなかった。
豊栄町安宿の田中尚さん(78)は14日午前0時ごろ、自宅近くの水路で泥の臭いを感じて妻と車で自主避難し、地域センター駐車場で夜を明かした。同地域は、午前2時40分ごろにレベル3の基準に達した。「可能なら明るいうちに避難所を開けてほしい」と求める。
広島経済大の松井一洋名誉教授(災害情報論)は「住民は自治体の避難情報が頼り。時間帯を問わず出すべき時に出すべきだ。深夜になる可能性も想定した対策を平素から詰めておくべきだ」と指摘する。
天神山勝浩総務部長は「空振りでもいいから出すべきだと身にしみた。早めの発表に努める」と述べた。市は2階に上がる垂直避難など、深夜に危険を回避する方法の周知も徹底する。(長久豪佑、堅次亮平)
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