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V字回復から一転苦境 周防大島の観光業、屋外レジャーに光明

2020/7/24 21:01
海水浴シーズン真っただ中だが、人影がまばらな片添ケ浜海水浴場(18日)

海水浴シーズン真っただ中だが、人影がまばらな片添ケ浜海水浴場(18日)

 「瀬戸内のハワイ」として売り出している山口県周防大島町の観光業が苦境に立たされている。2018年に起きた大島大橋への貨物船衝突事故後の復興キャンペーンで翌19年は観光客数をV字回復させたが、今年は新型コロナウイルスの影響で大幅に落ち込む。一方、コロナ禍の新しい生活様式に沿った観光を模索する動きも出ている。

 19年の観光客数は前年比13・5%増の107万3869人と過去最多を記録した。買い物が2割引きとなるクーポン券や半額補助のプレミアム宿泊券など、県と町が復興支援策を展開した1〜5月の観光客数は前年比で約3万6千人上回った。島内きっての集客施設の道の駅サザンセトとうわは通年で前年比15%増の40万6852人を集めた。

 行政の支援を追い風に周防大島観光協会なども昨年3月、瀬戸内海を挟んだ愛媛県で初の観光フェアを開催。大型商業施設で特産品販売や夏の一大イベント「サタデーフラ(サタフラ)」をPRした。昨夏のサタフラには四国から20チームが参加する盛況ぶりだった。昨年4月には瀬戸内しまなみ海道や防予フェリーを活用して山口、広島、愛媛の3県をサイクリングで周遊する「瀬戸内ロングライド」を提唱した。

 ▽反転攻勢が一変

 反転攻勢のムードを一変させたのが新型コロナの猛威だ。道の駅は「コロナ疎開」と見られる県外ナンバーの車であふれ、島内から懸念の声が噴き出した。ゴールデンウイークを含む4月下旬から5月中旬まで人を呼び込まないため閉鎖する事態に。スポーツ合宿を受け入れるグリーンステイながうらは3月の予約千人が全てキャンセルされた。ホテル「サンシャインサザンセト」も4〜6月の稼働率が1割未満だった。

 打撃を受ける飲食、宿泊業者への町の経済対策も感染予防と両にらみのため効果は限定的だ。17日に発行したプレミアム商品券は町民限定。松村浩商工観光課長は「コロナ禍の状況でお年寄りの多い島にたくさん来てくださいとは言いにくい」と苦悩する。

 ▽海開き見送る

 一番の書き入れ時の夏場も新型コロナが影を落とす。町は十分な感染対策ができないとして公設のシャワー室や更衣室を閉鎖して海開きを見送った。民間の海の家は利用できるが客足への影響は避けられそうにない。宿泊客の減少を理由に夏季の営業を取りやめるホテルも出ている。

 苦境続きの島内観光だが光明もある。片添ケ浜海浜公園オートキャンプ場は緊急事態宣言明けの6月、過去最多の利用者を集めた。佐野和也所長(52)は「『密』を気にせず楽しめるアウトドアの注目は高い」と手応えを語る。

 島の自然環境を生かした宿泊型観光を探る動きも出ている。観光協会や町は4月、「周防大島アクティビティ協議会」を設立した。満天の星や瀬戸内アルプスと呼ばれる600メートル級の山々の縦走などアウトドア活動を取り込んだ宿泊プランを売り出す考えだ。

 イベントも規模や期間を縮小して開く。観光協会はサタフラを1カ月遅れの8月22日から屋外ステージだけ開く予定。江良正和事務局長(47)は「コロナによる社会の価値観の変化は自然豊かな周防大島には追い風になる。住民の理解を得ながら新たな観光のあり方を探りたい」と意気込む。(余村泰樹) 

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