地域ニュース
庄原に新種昆虫、命名「ヒバゴン」 市職員発見、謎の類人猿にちなむ
庄原市西城町の比婆山(1264メートル)で、昆虫ハネカクシの新種を市職員で比和支所勤務の千田喜博さん(32)が発見した。半世紀前に一帯で目撃談が相次いだ謎の類人猿にちなみ「ラトロビウム ヒバゴン」と命名し、このほど日本昆虫分類学会に認定された。
関連記事「出没騒動50年、ヒバゴン脚光 庄原・西城の実行委など記念計画」
ハネカクシはカブトムシと同じコウチュウ目。体長1センチ未満と小さく、森林の落ち葉の下などに生息して目立たないため、研究が遅れているという。後羽が退化して失われた種群「ヒメコバネナガハネカクシ」の一種で、島根県の隠岐諸島や四国ではこの種群が確認されているが、本州での新種の確認は初となる。
支所の隣にある比和自然科学博物館の客員研究員も務める千田さんは、2016〜19年に比婆山山系の昆虫の分布調査に参加。19年春に採取した個体の標本を同年夏に整理していて新種と直感したという。羽がないため移動能力が乏しく、地域ごとに固有種ができやすい特徴があるためだ。
解剖して調べると、腹部の先端内部にある交尾器の形状が、隠岐や四国に生息する種と異なっていた。これが決め手となり、日本昆虫分類学会誌に論文を投稿。今年6月に受理された。
倉敷市出身の千田さんは幼少期から昆虫好きで、愛媛大農学部と同大大学院で昆虫学を学んだ。15年、学生時代に何度か調査で訪れた庄原市の職員に。手つかずの豊かな自然が後世に残ることを願い、属名ラトロビウムに続けて表記する種名にヒバゴンを付けて申請した。
「新種発見は珍しいことではなく、多様性にあふれる生物の全容を人間が把握し切れていないだけ」と説く千田さん。今後は中国山地にフィールドを広げ、研究を深めたい考えだ。
同館は、新種発見に関するポスター展示発表を、ヒバゴン初出現の記念日とされる7月20日から9月末まで開催している。同館Tel0824(85)3005。(小島正和)
あなたにおすすめの記事
同じ日のニュースの記事
-
尾道―三原間の木原道路、3月開通 生活や物流、大きく改善 [中国地方のニュース] (12/31)
-
漫画「朝霧の巫女」の舞台に石積み風トイレ 気鋭の建築家谷尻さん設計、故郷の太歳神社 [中国地方のニュース] (1/17)
-
夜叉うどんの冷凍販売開始 安芸高田市美土里の神楽門前湯治村 [中国地方のニュース] (1/17)
-
呉・東広島の飲食店、協力金対象外に嘆きも 「差が大きすぎる」「休めない」 [中国地方のニュース] (1/15)
-
山口県の島にコロナ疎開、島民困惑 キャンプ場客急増/道の駅に他県ナンバー [中国地方のニュース] (4/21)
庄原市西城町の比婆山(1264メートル)で、昆虫ハネカクシの新種を市職員で比和支所勤務の千田喜博さん(32)が発見した。半世紀前に一帯で目撃談が相次いだ謎の類人猿にちなみ「ラトロビウム ヒバゴン」と...
難病の患者と家族が生活や介護の困りごとを語り合う「難病カフェ」が25日、広島市南区の広島県健康福祉センターであった。パーキンソン病の患者や医療機関の職員たち計13人が参加した。
尾道市木ノ庄町の住民団体「石見銀山街道尾道ルートを保存する会」(下谷正博会長、30人)が25日、同町畑地区を通る石見銀山街道の草刈りをした。
今月1日に再オープンした広島市の被爆建物レストハウス(中区)を起点に、観光客らが平和記念公園を徒歩で巡る有料ツアーが始まった。ガイドは米国人を含む20代の若者6人。日本語と英語でヒロシマを発信してい...
ホテル経営のルートインジャパン(東京)は26日、廿日市市宮島口西1丁目に「グランヴィリオホテル宮島 和蔵」をオープンする。客室210室を備える市内最大級の宿泊施設。現在は新型コロナウイルスの感染拡大...