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庄原に新種昆虫、命名「ヒバゴン」 市職員発見、謎の類人猿にちなむ

2020/7/25 22:55
比和自然科学博物館で開催中のポスター展示を紹介する千田さん

比和自然科学博物館で開催中のポスター展示を紹介する千田さん

 庄原市西城町の比婆山(1264メートル)で、昆虫ハネカクシの新種を市職員で比和支所勤務の千田喜博さん(32)が発見した。半世紀前に一帯で目撃談が相次いだ謎の類人猿にちなみ「ラトロビウム ヒバゴン」と命名し、このほど日本昆虫分類学会に認定された。

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 ハネカクシはカブトムシと同じコウチュウ目。体長1センチ未満と小さく、森林の落ち葉の下などに生息して目立たないため、研究が遅れているという。後羽が退化して失われた種群「ヒメコバネナガハネカクシ」の一種で、島根県の隠岐諸島や四国ではこの種群が確認されているが、本州での新種の確認は初となる。

 支所の隣にある比和自然科学博物館の客員研究員も務める千田さんは、2016〜19年に比婆山山系の昆虫の分布調査に参加。19年春に採取した個体の標本を同年夏に整理していて新種と直感したという。羽がないため移動能力が乏しく、地域ごとに固有種ができやすい特徴があるためだ。

 解剖して調べると、腹部の先端内部にある交尾器の形状が、隠岐や四国に生息する種と異なっていた。これが決め手となり、日本昆虫分類学会誌に論文を投稿。今年6月に受理された。

 倉敷市出身の千田さんは幼少期から昆虫好きで、愛媛大農学部と同大大学院で昆虫学を学んだ。15年、学生時代に何度か調査で訪れた庄原市の職員に。手つかずの豊かな自然が後世に残ることを願い、属名ラトロビウムに続けて表記する種名にヒバゴンを付けて申請した。

 「新種発見は珍しいことではなく、多様性にあふれる生物の全容を人間が把握し切れていないだけ」と説く千田さん。今後は中国山地にフィールドを広げ、研究を深めたい考えだ。

 同館は、新種発見に関するポスター展示発表を、ヒバゴン初出現の記念日とされる7月20日から9月末まで開催している。同館Tel0824(85)3005。(小島正和)


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  • 千田さんが発見した新種ラトロビウム ヒバゴン

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