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復興の歌「歌謡ひろしま」初CD化 被爆翌年に中国新聞社が歌詞公募、古関裕而さん作曲

2020/7/27 23:01
古関裕而さん

古関裕而さん

 被爆の翌年、まだ焦土の広がる広島で市民に親しまれ、口ずさまれた歌があった。「歌謡ひろしま」という。中国新聞社が歌詞を公募し、古関裕而(こせき・ゆうじ)さんに作曲を依頼した。歌は美しい広島が復興するよう、市民を励まし鼓舞したが、やがて忘れられて幻の曲となっていた。この夏、シャンソン歌手佐々木秀実さんの歌で初めてCDになる。復興を後押しした音楽が被爆75年の節目によみがえる。

 「歌謡ひろしま」は1946年6月、「原子弾戦災一周年事業」の一つとして歌詞を募り、500点を超す応募から市内の歌人山本紀代子さん(61年死去)の作品を選出。8月9日付紙面で古関さん作曲の楽譜とともに発表した。

 詞には「街を興(おこ)せとわきあがる」「増えるいらか」と街が活気づく様子のほか比治山、安芸の小富士などの名所が織り込んである。「水の都の広島が建(た)つぞ新たに」と力強く歌う。古関さんも「作曲にも苦心して何処(どこ)でも誰にでもうたへるやうにした」と語っている。

 46年9月の発表会には市民が大勢集い、歌唱指導を受けて合唱した。広く親しまれ歌われたとみられるがレコード化されなかったこともあってか忘れられた。

 しかし歌を覚えていた女性が一昨年、自ら歌ったテープを原爆資料館に送付。今年1月、本紙が報じたところ、古関さんが専属作曲家だった日本コロムビアと佐々木さんから演奏、CD化の申し出があった。

 ピアノと弦楽四重奏の調べに乗せ、佐々木さんが温かみのある声でしっとりと歌い上げる。「復興を強く願う曲は、コロナ禍が覆う今にも通じ、伝わる。大事に歌い継ぎたい」と語る。「歌謡ひろしま」を収録したアルバム「シャンソン・ベスト」は8月26日発売。3300円。(田原直樹)

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