地域ニュース

【最終弁論詳報】廿日市女子高生刺殺事件(2020年3月10日掲載)

2020/7/28 18:04

 ■弁護側の最終弁論

 事件は計画性に乏しく、突発的な犯行だった。被告は過酷な勤務を強いられていた。午前6時に出勤し、夜遅くなることも多く、ミスした従業員は朝礼で謝罪させられた。2カ月に1回業務改善案の提出を発表するのが苦痛だった。会社そばの寮で暮らし、深夜の呼び出しもあった。けがをしても上司は心配してくれず、怒られただけ。同期も1年以内にやめていったが、被告は父親から「3年は勤めろ」と言われ、我慢していた。家族にも会社にも相談できる関係を築いていなかった。誰かに相談することなく我慢していた。

 2005年10月4日、被告は朝寝坊した。初めての遅刻で、怒られることが頭をよぎり、不満もあったため寮を逃げ出そうと決意し、携帯電話、財布、CDプレーヤーを持って寮を飛び出した。逃げ出すのは被告にとっては許されざることで、自暴自棄になった。方位磁石を買ってひたすら東に向かった。

 廿日市市に入り、たまたま聡美さんを見掛け、マスクと手袋を買って家に侵入したが、何日も前から考えていたわけではなく、計画性はなかった。前日に友人宅を出た時点でも、考えていなかった。さらに、聡美さんの部屋に入った時点でも、折り畳みナイフは脅しに使うつもりで、傷つけてまで乱暴しよう、殺すことになっても構わないとは考えていなかった。殺人、殺人未遂はあらかじめ計画していたものではなかった。事件の時まで殺すつもりはなかった。

 女性暴行については、一応の計画性があるかもしれない。ただ、何日も前から考えていたものではなく、たまたま女子高生を見掛けて思い立ったもので、マスクや手袋も着けなかったことから、計画性は低い。綿密に練られた計画は犯罪への強い意志がうかがえ、犯罪が達成される可能性も高くなる。事前に計画どころか、考えてもいなかった。実際、失敗している。突発的な犯行だった。
(ここまで 770文字/記事全文 2617文字)

会員限定の記事です
  • 無料登録して続きを読む
  • ログインする
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

アーカイブの最新記事
一覧